麻由美と康治は共に肩で息をして、ソファーの上で身体を重ね合わせて横になっていた。
美容室で綺麗に纏めて貰った彼女の日本髪は形が大きく崩れ、はみ出した幾本かの髪は汗で肌にべったりと張り付いて仕舞っている。
彼は彼女へ体重を掛けている事に気付いて、身体を離して彼女の膣内から抜けて行く。
二人共、汗でびっしょりである。
特に股間周辺は二人の愛が激しかった事を物語っていた。
彼は近くのタオルを手に取って、彼女の身体を丹念に拭いて行く。
ついでに自分の汗も拭きとって、彼女の隣へ座った。
康治「麻由美さん、おつかれさま」
彼は、そう一言だけ言って目を瞑った。
彼女は薄い意識の中で、彼の手を探している。
そして、やっと見つけた彼の手を取って、両手で優しく包んで行く。
暫くの間、まったりとした時間が過ぎて行った。
すると彼がいきなり、クスッと笑う。
彼女は無言で彼の顔を見た。
彼は彼女に向かって話し始めた。
康治「全く、彼女の云う通りだったなぁ~!」
「貴女は怖い人です!」
「何もかもお見通し!」
「雅美の言葉に嘘は無かった・・」
彼女は娘の名が出て来た事に驚く。
娘は何を彼に伝えたのか。
彼女は聞き耳を立てた。
康治「母は控えめに見えるが、本当は猪突猛進で情熱的だって」
「だから、充分に気を・・・」
そこまで云って彼はハッとした。
雅美は、母には内緒でねと云って教えてくれた事だったからだ。
だが、彼女は聞き逃さなかった。
自分の性格を彼に伝えると云う事は・・・。
彼女は彼に問い正す。
麻由美「・・何で娘は・・・」
「貴方に、そんな事を・・?」
彼は慌てて誤魔化そうとした。
康治「えっ?あれっ? 今、私、何か言ったかな?」
麻由美「とぼけたって、ダメよ!!」
彼女の視線は鋭い。
そして、勘は更に鋭かった。
麻由美「まさか・・あの子・・」
彼はもうこれ以上、しらを切っても無駄だと判断して彼女に告げる。
康治「雅美には、もう二人の事はバレちゃってるみたいです」
麻由美「ええ?!!本当に?」
「あぁ~もうっ!!」
「貴方、喋っちゃったの?」
康治「まさか!!」
「いくら何でも、そこまで口は軽くないですよ!」
麻由美「じゃあ?」
「どうして?なんでバレちゃったの?」
康治「う~ん!」
「なんだか最近、貴女が生き生きして来たって」
「言ってました!彼女が!」
麻由美「わたしが?・・生き生きと?・・」
のほほんっと生きて来た娘が、そんな事を云うなんて・・・。
彼女には信じられなかった。
康治「彼女、こうも言ってました」
「貴方の事、根掘り葉掘り聞いて来るんですよ~って」
彼女は確かに娘から聞いた。
娘への心配事とは無縁である様な事までをも。
だが、娘にそこまでの洞察力があったとは。
彼女は悔やみはしたが、或る意味嬉しくもあった。
麻由美「うんっ!もうっ!!」
「あの子に今度会ったら、どんな顔をすればいいのよ!!」
康治「そんな・・深刻に考える程の事では・・」
麻由美「だって!!」
「娘の彼氏を寝取っちゃったのよ!!」
「わたしが!!」
康治「彼氏って云う程、若くは無いけどね!」
彼は笑いながら自虐的に話す。
彼女は苦笑するしかなかった。
麻由美「ねえ・・どうしよう?」
「私達の事?・・・」
康治「どうもこうも・・」
「別に彼女は深く考えていない様だし・・」
「このまま放って置けばいいんじゃないかな?」
麻由美「もうっ!!」
「無責任なんだからっ!!」
彼女は娘に云う言い訳を必死になって考えていた。
まさかこの後、思いも寄らぬ展開になるとは、彼女自身も知る由が無かった。
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