先に風呂場から出たのは僕。風呂場でのことで、少しレベルをあげたような気がして、どこか大人ぶっている自分がいます。満足していたのです。
一度ベッドに転がりました。しかし、まだ恥ずかしさはあり、パンツを履き、その隣にあったバスローブを纏いました。そしてベッドに戻ります。
しばらくして、風呂場の扉が開きました。全裸の浅井さんが現れます。『向こうむいてて~。』と声を掛けて来ましたが、『イヤ~。』と断りました。
『ええ~。』と言われ、『見るの!』と子供のように返します。こんな会話をしたことがなかっただけに、どこかぎこちなく、それでも笑いました。
『浅井さん、意外と色黒やねぇ?』、前から思っていたことを、彼女の裸を見ながら聞いてみます。『ああ、外国行って焼いたのよ~。』と聞かされました。
やはり、地は白いみたいです。しかし、『誰と行ったの?』なんてことは聞けず、話は終わります。
彼女は洗面所に向かいました。その間、テレビを観ていた僕でしたが、急に浮かれ気分から現実に戻されるのです。
チラッと見えたのは、枕元にあったコンドーム。むかし、手に入れたことがあったのですが、それはそのままオナニーに使用されました。
そのコンドームを見て、『ああ、今から浅井さんとセックスするんだ。』と気づくのです。浮かれ気分も飛んでいきます。
『ちゃんと出来るのか?』『失敗するだろ、最初だから。』『きっと、すぐに暴発して終わり。』、マイナスなことばかりが頭を廻ります。
更に、『大笑いされる。』『呆れられる。』『落ち込まれる。』とそんな浅井さんの顔まで想像をしてしまいます。
洗面所の扉が開きました。僕と同じバスローブを纏った浅井さんが現れました。彼女は持ってきたペットボトルのお水を一口飲み、僕の方に近づいて来ました。
一気に緊張が高まります。彼女は布団の中に入ろうとします。その布団の上に乗っていた僕は、一旦降りて同じように入ることになります。
布団をめくると、当たり前ですが浅井さんの身体があります。女性がいる布団に入る、もうそれだけで抵抗があるのです。
なんとか並んで入りました。しかし、『どうしよ?どうしよ?僕、セックスせなあかん!もう、せなあかん!』と最後の抵抗が始まるのです。
それを和らげてくれたのは、やっぱり浅井さんでした。布団に入った僕に、『ねぇねぇ…、』と声を掛けて来たのです。
僕と彼女の間に少し隙間を作って向き合い、その小さな空間で会話を始めたのでした。きっと、彼女のやさしさです。
僕が緊張をしているのを察して、先に手を打ったのです。同級生のように話をしてくれました。年の差など感じませんでした。
一人でどんどん話を続けてくれて、楽しそうにずっと笑顔でした。
それでも僕の中の不安は消えません。やはり、初めてでしたから。しかしこのあと、ミラクルを起こすことになるのです。
それは僕ではなく、やはり浅井さんによって行われるのでした。
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