淫欲のスポーツジム 優美と雅之 3
次の日の朝。
私は夫を仕事へと送り出します。
「今日は会議で遅くなるよ」
私「えっ? あっ、はい」
私は夫の言葉を聞いても、上の空です。
頭の中は彼の事でいっぱいでした。
家事をしていても身が入りません。
午後は外に出てショッピング。
流行りのウエアを探します。
でも、なかなか気に入った物に出会えませんでした。
最後に気分を変える為、ヘアサロンへ。
肩まで有った髪を思い切ってショートに。
色も少しだけ明るくしてみました。
これが大失敗。
まるで、お猿のモンチッチです。
「はぁ~、もうダメ!」
やる事なす事裏目に出ます。
私は、まだ明るい内から疲れ果てて家路に就きました。
今夜のレッスンも不安でいっぱいです。
私はいつものシックな色合いのウェアをやめて、明るいパステル調の目立つ色を選んで臨みます。
とにかく、彼とコンタクトを取りたい。
私の頭の中は、ただそれだけでした。
そんな時にメールが届きました。
イントラの宮本さんからです。
ジム入りまでに時間が空いたので、お茶をしませんか、だって。
私は車でジムから少し離れた駅前のカフェに向かいます。
お店の中に入ると、彼女は既にお茶を飲んでいました。
「あっ!こっちこっち!」
彼女が手招きをしています。
私「ごめんなさい。遅くなっちゃった!」
「ううん、私も今、来たとこ」
彼女とは色々とプライベートな話もします。
本当はメンバーとインストラクターは、余り親しい関係になってはいけないのですが、彼女は別。
上手く立ち回ってくれています。
「ねえ、田中さん?」
「最近、何か悩んでない?」
彼女は鋭いんです。
みんな、お見通し。
私「ん?そう見えます?」
「私から見たら、もうバレバレ、てかヒヤヒヤ?」
「あの、Kの彼でしょ?」
うわ~ん、何で分かっちゃうの?
私、そんなに脇が甘いかなぁ~。
私「あ~、やっぱり分かっちゃうんだぁ~」
「あ、でもでも、皆にはバレてないですよね?」
「当ったり前よ~」
「あっ、でも、皆は知らないと思う。きっと」
「どうせまあ、どちらにしても親子みたいな関係にしか見えないから」
酷い言いようです(笑)。
全く彼女には敵わないです。
「でもさ~、 う~ん」
「人の事には余り干渉したくはないけど・・」
「何事も慎重にね!」
「私に言えるのは、それだけかな?」
彼女の言葉で気持ちが楽になりました。
この後、二人でジムに向かいます。
彼女は建物の少し手前で車から降りました。
私はこのまま駐車場へ向かいます。
今日も彼は、まだ来ていません。
私はマットを敷いてストレッチを始めます。
私は思いました。
こんな気持ちになるのは、いつ以来だろうって。
異性に会うのを待ち焦がれるなんて。
日に日に苦しさは増すばかりです。
もう直ぐレッスンは始まってしまいます。
私はもう諦めかけた瞬間、彼が慌ててやって来ました。
相川「すいません!、遅れました」
彼はイントラの先生に、そう謝って皆の列に並びます。
私は、もう嬉しくて仕方がありませんでした。
彼に視線を送ると、一瞬だけこちらを見て会釈をしてくれた。
私はホッとしました。
今日のレッスンはステップ台を使った内容です。
飛んだり跳ねたりと結構忙しい。
彼はいつもより激しく飛び跳ねています。
私が心配しながら見ていると
私「あっ!危ない!」
「バンッ! ドカンッ!」
彼はステップ台につまづいて、床に激しく転倒してしまいました。
周囲は騒然としています。
私「相川くんっ!大丈夫!?」
彼は暫く床に倒れていましたが、ゆっくりと立ち上がりました。
私は、ホッとしました。
相川「すいません!失敗しました。 ごめんなさい」
と、彼は皆に謝っています。
私は安心しました。
その後もレッスンは続いて行きますが、何か、彼の様子がおかしい。
レッスンが終わって彼の近くに寄ると、彼の左の手首が腫れています。
余り酷くは無さそうですが、少し心配です。
私「あの、 手首、大丈夫?」
と私が聞くと
相川「あっ、ええ、大丈夫です」
と彼が言った。
でも、随分と痛そうにしています。
私は彼に伝えました。
私「早く着替えて!」
「駐車場で待ってるから」
私も素早く着替えて車の所に行って、エンジンを掛けて待っていました。
暫くすると彼がやって来ました。
私「これから、夜間診療に行くから!」
私は彼を乗せて病院へと急ぎます。
相川「あの、すいません、本当に」
私「それより、痛くない?」
「結構、腫れているよ」
相川「はい、大丈夫です、我慢出来ます」
病院に着いた私たちは、夜間救急の入り口から中に入ります。
彼は整形外科でレントゲンを撮っている様です。
私は待合室で彼の様子を伺います。
30分程で彼が帰って来ました。
手首の骨に異常は無いそうです。
私はホッとしました。
帰りの車の中で彼がしきりに謝ります。
相川「あの、こんな面倒を掛けてすいません」
「うん、いいのよ。私が好きでやってるだけ」
「ああ、自転車は後で引き取りに行った方が・・」
すると、彼が私の話を遮って
相川「田中さん、何でこんなに優しくしてくれるんですか?」
と言って来た。
「ええ? だってジム仲間じゃない?」
相川「それだけですか?」
「それだけって?」
相川「だから・・・」
「だからその、田中さんは綺麗で優しくて・・・」
「えっ?」
相川「なんで僕なんかに、こんなに・・・」
車内は暫く沈黙が続いてしまいました。
でも私が、その沈黙を破ってしまいます。
「ねえ、相川くん」
「私の事どう思ってる?」
相川「えっ?」
「私は相川くんが好き」
「相川くんは?」
私、何言ってんだろう?
相川「僕は、 僕、は・・・」
「私は主婦だし、君は高〇生だから」
「でも、君が好き」
「本当に」
私とは別の私が居る。
なんで勝手に言葉が出るの?
相川「僕も・・・」
「僕も田中さんが好きです」
ええ?
今、なんて?
相川「田中さんが好きだから」
「レッスン、続けてました」
彼が言った言葉は・・・
私はハンドルを持つだけで精いっぱいでした。
つづきます
※元投稿はこちら >>