熟事務員 ③
結局、水曜日の朝も木曜日の朝も 稲葉さんは、駐車場でまっていた。
木曜日の朝、会社まで歩いてる時に。
朱美
「明日は なんとか(天気)もちそうだから 宜しくね。」
「ウチに来て貰う訳にもいかないし、工藤さん家なんて とんでもない でしょ?」
「あのGS?」
俺
「いえ。イオンの前の通り 1車線の方の、あれをずっと行くと 左に洗車場が有るのしってます?」
「土日なら若い奴らで一杯だけど、明日は平日なんで 殆ど誰も居ないと思うんで。」
朱美
「あぁ、有ったかも。」
俺
「8時位で どうですか?。」
「もし先に着いたら、水洗いして拭き取っておいて下さい。遅れないとは思いますけど。」
朱美
「わかった。ありがとう。ゴメンね。」
「waxの他に何か準備しとく物とか 有る?」
俺
「いえ、あれ(wax)だけ有れば」
朱美
「わかった。ありがとう。お願いね。」
木曜日は定時だった。
タイムカードを押して歩き出すと、後ろから
「工藤さ~ん、まってぇ。」
と、星野さんに声をかけられた。
振り返ると稲葉さんと2人だった。
2人がタイムカードを押して、私に追い付く前に
星野さんが言った
「工藤さん、明日 朱美ちゃんとデートなんでしょ?、何処 行くの?」
朱美
「ちょっと!、悦っちゃん。声(大きい)。」
悦子
「なんで?、いいじゃない。朱美ちゃんの次は 私とデートしてくれる約束なんだから」
「ねッ、俊くん?」
朱美
「えッ?、何?何?。」
「俊くん、って何?。えッ、そうなの?」
と、私と星野さんの顔を見比べている。
悦子
「冗談よ!。」
「工藤さん。朱美ちゃんを からかったり したら承知しないからね!」
朱美
「もおッ!」
悦子
「でもね、工藤さん。工藤さん 私たちオバサンの間では 結構 工藤さんファン 多いのよ。」
「ねぇ、朱美ちゃん」
朱美
「(困) え、えぇ。」
悦子
「いつだっか、(トイレ)掃除の 池沢さんと食堂で一緒になった時『あの、背が高くて (保護)ナンとかメガネかけて、ブルーのマスクしてる人 なんて(名前)言うの?』って聞かれたのよ。」
「でね、背丈は別にして メガネとマスクは皆一緒だからね、なんで?。って聞いたらサ、
『いつも声かけてくれるの。スミマセン良いですか? って入ってきて、掃除したばかりなのにスミマセン ありがとうございました。って言ってくれて。
私 それだけで キュンキュンきちゃって。
他の人なんて 当たり前の様に 用 足していって。
わざわざ振り向いてから (チンチン)しまうオヤジだっているのに、ちゃんと 労ってくれるって言うかサ。』
って言うから、それ 工藤さんよ!。って朱美ちゃんと2人で教えてあげたの。」
「私たちが 休憩室のテーブル拭いたり、布巾を洗ってたりすると必ず『ありがとうございます』って声かけてくれるの 工藤さんだけだからネ。」
「そんな話ししたら、池沢さん『私だけじゃなくて 皆にだなんて、ますますキュンキュンしちゃう』っていっててサ。」
「結構 多いのよ、工藤さんのファン」
俺
「いえいえ。本来なら 男性社員が やるべき事なんでしょうから」
「ま、掃除の池沢さんでしたっけ。外注さん とはいってもトイレの掃除ですからねぇ。」
「その位は、当たり前のマナーでしょ?」
「(それが誰か想像つくので)それも言えない。振り向いて(チンチン)しまう なんて奴はゴルフやっちゃ アカンでしょ?」
「だから、今年はパスしたんすけどね。」
「でも、少しは若い人のファンも 居ないんすか?」
悦子
「ほらねッ、朱美ちゃん、工藤さんだって 若い娘の方が いいのよ!。ね、工藤さん。」
俺
「いえいえ、若い娘には あまり感心が無くて。
やっぱ、同世代~上の女性の方が魅力的ですよね暖」
悦子
「なんだか、取って付けた様な フォローね(笑)」
(駐車場に着いて)
「じゃぁね、朱美ちゃん、工藤さん、また来週。」
「俊くん、次は私だからねぇ~。(笑 笑 笑)」
と、星野さんが帰っていった。
朱美
「もぉッ、悦ちゃんたら、いつも あんな調子なんだから。じゃ工藤さん、明日 お願いね。」
それぞれが、家路についた。
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