熟事務員 ②
土日を気遣ってくれたのか、稲葉さんからの着信は無かった。
明けて月曜日。
私の出社時間は 結構早い。
着替えを済ませ、カップの珈琲を買い、ラジオ体操の始まる20~30分前には喫煙所で煙草を吸っている。
駐車場から門までは さほどでも無いが、門~会社迄が遠い、15分じゃ着かない と言うパートさんがいる程 遠い。
なので、たいがい ラジオ体操の45分前には駐車場に着く様にしている。
私が駐車場に入ってゆくと、いつもはない 一昨日みた稲葉さんの車が停まっていた。
それを横目に見ながら 何台分か前方の 決められた定位置に車を停めた。
車から降りると、やはり一昨日の様に、稲葉さんが 手を振りながら 小走りでやって来た。
朱美
「おはよう。こないだは ありがとう」
俺
「(wax)わかりました?」
朱美
「よく わかんないくてサ、まだのよ」
(私のセブンを袋を見て)
「工藤さん、お昼はいつもコンビニ?」
俺
「昨夜の残り物が無い時は たいがい」
朱美
「奥さんの お弁当じゃないの?」
俺
「もぅ、長いこと 自分で。彼女は 子供たちと 同じモノを食べる事になってるみたいで」
朱美
「???」
俺
「保母さん なんですよ。歳も歳なんで 担任とかじゃ 無いみたいですけど。」
「毎年 9月~年末までは、運動会 お遊戯会 ナンとか発表会だとかの行事で、9時前に帰ってくることは 殆ど無くて。だいたい(弁当)自分で作りますね。」
朱美
「私も お弁当のが楽なんだけとね、色々あるのよ。」
「人の お弁当みて、その家の食生活とか お財布事情とか 見当付けたり、一緒に(食堂)行かなきゃ行かないで あーだ こーだ って、面倒くさいのよ!、女って。」
「でも、男のひとは、食堂のが楽じゃない?」
俺
「(食堂まで)往復も面倒だし、並ばなきゃなんないし、そもそも定食1食じゃ足らないんで」
「チャッチャと食べて、守衛さんとこの喫煙所おじゃまして、エロサイト見ながら煙草吸ってた方が良いすよ」
朱美
「あら!、工藤さんもそんなの見るの?」
俺
「そりゃぁ見ますヨ、健康なエロオヤジなんで(笑)」
朱美
「……いが~い。」
俺
「そぉですか?、ポッチャリ系の熟女ものなら、
画像だろうが、動画だろうが、なでも。
一昨日は稲葉さんの お尻ばっか 見てましたし(笑)。あれ?、これってセクハラですか?」
朱美
「そおーよぉ!。訴えてやる!(笑)」
「セクハラはねぇ、相手次第よ。事務所のハゲオヤジどもが そんな事したら すぐ訴えてやるわ!」
「工藤さんて、ポッチャリ好き なの?。
私も(太るのを)気にしないで 今日から おやつ たべよぉ!」
そんな事を話しながら 歩いた。
私たちの会社の建物が見えてきた頃、
朱美
「ねぇ工藤さん、金曜日 ゴルフ(親会社主催のコンペ)行くの?」
俺
「今年は パス しました」
朱美
「何か 予定があるの?」
俺
「いえ、ただ単に4連休にしようかなぁ(毎年 体育の日のハッピーマンデーに絡める)、って。
妻にも言ってないので、ダラダラのんびり しようかなぁ、って」
朱美
「あのさ、(wax)教えて。ってか教えてもらいながら 手伝って貰えないかなぁ?、ダメ?」
俺
「まぁ、特に予定も無いんで、天気次第 っすかね」
朱美
「ありがとう。てるてる坊主 つくるワ。」
俺
「小学生の遠足じゃないんすから(笑)」
朱美
「(笑、笑)ゴメンね、お願いします。」
タイムカードを打刻してわかれた。
次の火曜日。
稲葉さんの車が 既に駐車場に有った。
また、小走りに駆けよってくる。
朱美
「おはよう。ヤフーの天気予報だと 金曜日は晴れマーク なんだけどね。」
俺
「ホントに遠足みたいですヨ。」
「あれっ?、今日は pants なんですね?」
朱美
「うん。たまにはね」
と、くるっ と回って、私に お尻を向けた。
そんな話しをしながら、また タイムカードでわかれた。
仕事がはじまって……。
毎日、バインダーを持って現場を回る女性がいる。
星野悦子さん、稲葉さんと彼女が お局様の2トップ。星野さんが 稲葉さんの 1つ下、らしい。
めったに 私には 声をかけない星野さんが、私のところに来て
「工藤さん 朱美ちゃんとデートしたんだって?。
金曜日には洗車デートだって、まるで小娘みたいに はしゃいちゃってるわよ。ホントにもお(怒)!」
俺
「デートって言っても、またまたGSで一緒になって、カインズホームで探し物 手伝ってあげた だけですけど……?」
悦子
「それでも朱美ちゃんには 新鮮だったみたいヨ!。」
「で?、金曜日は?」
俺
「(困)車をちょっと。頼まれてて。」
悦子
「そぉ?、その後は?。」
「あんまり罪な事しちゃダメだからね!」
背を向け、2.3歩きだしたと思ったら戻ってきて
「そのうち 私ともデートしようね。」
と、耳元で小声で言って、私の尻を ポンとたたいて 戻って行った。
俺
「????(なんだ これ)」
「(もしかして、俺 からかわれてるの?)」
さて これから どんな ゲームが始まるんだろ?。
私のなかの 妄想癖が 疼きだした。
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