スナックにて…
ネオンが、瞬く木屋町を少し歩いてみた、京都の歓楽街、まだまだ、観光客も多い時間帯。マキは、大きな尻タブをゆらしながら、まるで、尻だけが、別の生き物のように、男を誘う。
いかがわしい店が、ひしめく歓楽街なら、尚更、男が、振り返って見る。それをマキは、楽しんでいるかの様だ。先斗町にはいり、路地から路地へクネクネと歩く先に岩田ビルが、見えてくる。
昼間は、静かな、死んだような雰囲気だが、夜に見ると、まるで、欲望の蠢くケバケバしい雰囲気だ。岩田興産の事務所の脇を抜け、階段を中二階へ登ると、表札に喫茶と書かれ、知らない人間なら、何の店かもわからない。
関係者が、たむろする店なのだろう。灯りが漏れており、営業しているのだろう。マキは、ゆっくりとドアをあけた。ドクン…ドクンと心臓が、高鳴る。どんな男達が、いて、どんな扱いを受けるのだろうか?
「いらっしやい。」
カウンターの向こうのマスターが、声をかけると同時に客達が、(何物?)と言う感じで、振り返る。店は、5人が座れるカウンター席。テーブル席3つ。一番奥が、L字のソファー席だった。
客は、カウンターに一人の男。ソファー席に男女5人が、いた。
「珍しいね。一人とは。」
「岩田さんは、仕事なんで、気晴らしです。」
「なるほど、ゆっくりとしていって。」
マスターも、岩田が、いないことを承知の上で、わざと大きな声で、言ってくる。
回りの客に、関係者の客であることを、知らせるためだ。
「じゃ、最初の一杯は、店からのおごりと言う事で…」
琥珀色の甘い香りのする酒を飲みながら、まわりを見ると、カウンターの男は、マスターと雑談をして、ソファー席の男女は、ひそひそ話しをしている。
女の一人が、男に寄りかかり、天井をむいたまま、口を半開きにして、荒い息をしている。妖しい表情から、何か、いたぶられているのだろうか。
もう一人の女が、氷を取りに来た時、マキの顔を笑みを浮かべながらも、探るような目線で、見詰めながら、席に戻った。
「旦那さんは、?」
「一泊で、岡山へゴルフです。」
「だから、羽をのばしているんや。じゃ、少し位、遅くなっても、平気なんだ。」
カウンター席の男が、「こちらに、来ませんか。あまりに離れているから、話しずらいな。どうぞ。」
マキは、絶妙のタイミングで、男の隣の席へ、移動した。
「こちら、龍さん。岩田社長も、ひとめおく…お偉いさん。」
「そうなんですか。マキと言います。岩田社長と同じ町内の知り合いなんです。」
「じゃ、上七軒?」
「はい。」
チラッとソファー席を見ると、一人の女が、うずくまり、頭を上下させながら、男の物をくわえこんでいた。
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