菜々子さん_くちゅくちゅだね その6
コオォ~_コオォ~と云う、一階から階段に掛けての掃除機の音で目が覚めた。
彼が時計を見るともう朝10時である。
昨夜の出来事は現実であったのか?
貴行はトイレに行く為に一階に降りた。
居間では掃除中の菜々子が、忙しそうに動きまわっている。
「おはようございます」
と彼が声を掛けると
「あっ、 おはようございます」
と彼女から挨拶が返って来た。
彼女はいつもの通りで、何の変化も無い。
ただ、少し艶々としている様に見えるのは気のせいであろうか。
彼女が元気ハツラツとして機嫌が良いのは、彼も嬉しかった。
チャンスがあれば、また彼女と心を揺さぶられる様な夜を過ごすことが出来るかもしれない、と思った。
しかし、食うための仕事もこなさなければならない。
小説家を目指している彼ではあったが、現実はなかなか厳しい。
そこで好きな読書や映画鑑賞のスキルを使って書評や映画評論その他、あらゆる分野のライター仕事で食いつないでいる。
夕方まで仕事をしてひと段落ついた。
彼は、ぼんやりと昨夜の情景を思い出していた。
あの貞淑で清楚なイメージの菜々子との情事。
普段は見せない彼女の妖艶なる乱れた姿。
そして、彼女から言われるがままに従う自分。
実際に彼が発した言葉は、はい、とお願いします位なものだ。
このままでは物書きとしての、いや表現者としての自分の沽券に関わる。
彼は自分の言葉で彼女をいかせてみたいと思った。
いつもの二人きりの夕食が終わって、貴行が自分の食器を片付けていると菜々子がいきなりこう言った。
「一貴さん、明日まで出張でいないの」
「後で寝室まで来て。 面白いもの、見せてあげる」
面白いもの?一体何の事だろう。
彼にはさっぱり分からなかった。
とにかく、行ってみるしかないと思った。
1時間程して貴行は菜々子の寝室へと向かった。
コンコンとノックをして扉を開けると、彼女は鏡の前で髪をブラッシングしている。
「ようこそ、貴行さん。」
と言って迎えてくれた。
そして
「ちょっと、待っててね!」
と言って、部屋を出て行ってしまった。
暫くして、ガチャっとドアが開いて現れたのは、なんと
監〇学園 プリ〇ンスクール副会長 白〇芽衣子のコスプレをした菜々子であった
「にっ、似合っている。 いや、似合いすぎ!」
と貴行は心の中で思った。
「どう? カッコイイ?」
と彼女が聞いて来たので
「はいっ、めちゃめちゃ カッコイイです」
などと子供の様な反応をしてしまった。
これから一体どうなるんだろう、と彼は想定外の事態に戸惑った。
つづく
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