熟事務員 ⑬
俺
「何だか土曜日で混んでて、30分~45分位みて下さい、って言われちゃぃました。」
悦子
「あら、そう。じゃ私もう一杯。」
と、ジョッキを差し出した。
皿に残ったツマミを突つきながら 代行を待った。
俺
「そう言えば稲葉さんが、[悦ちゃんて どっちもイケるみたいよ?]って言ってたんすけど、そうなんすか?」
悦子
「ナニ?、その どっちも って」
「前も 後ろも、ってこと?」
俺
「前も後ろも。ってなんすかぁ?」
と、とぼけて聞いてみた。
悦子
「前も後ろも。って言ったら 前と後ろよ!」
俺
「えっ?、イケるんすか?後ろも。」
悦子
「それは、工藤さん次第かも?」
俺
「俺が稲葉さんから聞いたのは、男性も女性も、なんすけど。」
悦子
「あぁ、そっちね。朱美ちゃん、ガードが堅くてさぁ(笑)。」
「イケますよ。男も 女も 前も う し ろ もね。」
「ふフフ。」
と、妖しく笑っていた。
星野さんは足の指で俺の すねを撫でたり、ジャージのすそから足わを入れたりしている。
俺は、わざと 足をよけたり 引いたりしながら、そんな話をしていると
「失礼しまぁす。代行 みえましたぁ。」
と店員さんが教えに来てくれた。
星野さんと2人 後部座席に乗り込んだ。
俺
「先に彼女の所に。で、ウチまでお願いします。」
悦子
「◎◎町の◎◎の街マンションわかりますぅ?。」
運転手
「はい。存じ上げております。先に◎◎の街マンションでよろしいでしょうか?」
俺
「はい。お願いします。」
運転手
「はい。かしこまりました。」
と、車が走りだした。
悦子
「◎◎の街マンション、工藤さんしってる?。」
俺
「星野さんがマンション住まいだってのは聞いてましたけど、◎◎の街マンションだったんすね?」
「あそこは入居するのに 何だか 年収の制限があって なかなか入れないって ききましたよ?。」
悦子
「旦那は一応何とか役員だからね。」
「帰って来やしないけど、正月くらいしか。」
対外的には 単身赴任 と言ってるらしいが、ここ数年は別居状態らしく、女性の影がチラチラしだしだ頃には 既に別にアパートを借りていたらしい。
星野さんは それを知って 壊れた のだそうだ。
ご主人は 6つか7つ年上で、子連れで 初婚の星野さんと再婚したらしい。
が、1人居る 息子もなかなか寄り付かないらしい。
このマンションの家賃も ご主人が負担している らしいが、じきに定年を迎えるので それまでは離婚はしない、退職金を折半 が星野さんの離婚条件の1つらしい。
そんな話から想像すると、星野さんも おそらく53位なのだろう?。
◎◎の街マンションに着いた。
車はエントランスの前で停まった。
[じゃぁね。ありがとう。また来週 会社でね。」
と、俺の手を下から握り、もう片方の手で 俺の手の甲を撫でて降りていった。
星野さんはエントランスの前で立ち止まり、こちらに向かって手を振っていた。
俺
「戻ってもらって、2駅先の◎◎駅の南側にある スーパー◎◎ ご存知ですか?。」
運転手
「はい。」
俺
「そこからは 細かいので、私が案内します。とりあえず スーパー◎◎までお願いします。」
運転手
「はい、かしこまりました。」
家に着いても 駐車場に妻の車は無かった。
スマホもチェックしたが、特にラインもない。
[????、なんで?]
とも思ったが、毎週 土曜日返上で、発表会だの その為の準備だのと忙しくしている。
[妻が頑張ってる時になにしてんだろ?]
と、良心の呵責 みたいなものを感じることも有るが、
自分の事は棚に上げて 妻を疑ってみたり、所詮 ただの ゲスなんだろう。とつくづく思う。
25時近くになって 妻が帰ってきやた。
「あら、早かったのね?。」
「◎◎ちゃんと カラオケ行っちゃったぁ。」
「あなた、明日は?」
俺
「特に何も…」
妻
「お遊戯会用の おリボンとか、足らない物 買いに行きたいんだ、いい?」
俺
「いいよ。」
妻
「ありがとう。」
「お風呂は?。」
俺
「沸いてるよ。」
妻
「ありがとう。入ってくるね。」
どうやら、明日は 荷物もち のようだ。
俺は、ツインにしてある寝室の 自分のベッドに潜りこんだ。
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