13
私が有給休暇をとり、ひとり最後の荷物を整理していた1月の末のある日、最も不愉快な人物が私の元を訪れた。
○美の叔父だった。
どうも、私に○美との離婚を再考するよう促しに来たらしい。
叔父が親族関係の物事を仕切りたがることを考えると、ひょっとしたら私を説得しにくるかもしれないとは思っていた。
私が過去、叔父が○美に性的虐待をしていたことを知らなかったら、叔父からの説得はある程度有効だったのかもしれない。
今は顔を見るだけで吐き気を催すような存在だ。
こいつは殺してやりたいぐらいのクズだが、あと数日で縁のなくなる関係の男だ。
○美の守ろうとしたもののためにも、仕方なく穏やかに追い返すしかない。
とりあえず、私の荷物を引き揚げて少しさびしくなったリビングに○美の叔父を招き入れた。
片付けをしながら、目も合わせず叔父に言った。
私
「どうしました?」
○美叔父
「話はだいたい聞いてきた。離婚を考えてるそうだね。」
私
「もう考えちゃーいませんよ。決まったことです。」
○美叔父
「まあ、そう喧嘩腰になるなよ。どうだ、昼間っからだが、どこかへ飲みに行かないか?」
私
「昼間っから飲みたいんですか?あいにく忙しくって、外へ出る暇はありませんよ。」
私は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、叔父の前に突き出すと、自分も冷凍庫に入れていたジンを取り出してラッパ飲みした。
こんなヤツの相手、シラフではやってられない。
○美叔父
「喧嘩の理由は○美の浮気だって?」
私
「ケンカなんかしちゃーいませんよ。別に○美は悪くない。仕方のない話だ。」
○美叔父
「おっ、分かってるじゃないか。そうだ、浮気なんか大した話じゃない。今回のことで即離婚ってのは、子どもじみた話だぞ。」
私
「まあ、浮気なんか大した話じゃありませんよ。」
軽く流してジンをあおりながら、片付けを続ける。
○美叔父
「それでは、なぜだ。長く夫婦関係を続ければ、一度や二度の浮いた話などある。私だってそうだ、愛人のひとりやふたりはいる。」
私
「古臭い話だ。愛人がいようがいまいがどうでもいい。叔父さんは叔母さんにもそんな思いさせてんだ。サイテーなオッサンだな。」
○美叔父
「随分生意気な言い草だな。少しは見込みのある男かと思っていたが。」
「私が説得に来たと思っているようだが違うぞ。」
私
「へー。何しに来たんです?」
○美叔父
「命令に来たんだ。うちの親族で、浮気などというくだらん理由で離婚を認める訳にはいかん。家柄に傷が付くんだよ。田舎の公務員の小せがれの君にはわからんだろうがな。」
「それだけじゃない。私に逆らえば、君の会社に圧力をかけて、君の処遇をなんとでもできるぞ。」
私
「ほー。おれのことはいいが、親父のことを馬鹿にしやがったな?」
「オマケに説得に来たのは○美のためじゃなく、親族の世間体のためときた。」
「オッサン、ちょっとビール飲んで待ってろよ。いいもん見せてやるから。」
私は不覚にもブチギレた。
パソコンを起動し、○美が全裸で緊縛されている画像を1枚プリントアウトした。
そして、引き出しに入っていたICレコーダーの電源を入れ、叔父に気付かれないように電子レンジの上に置いた。
その後、○美叔父に画像をプリントアウトしたものを叩きつけた。
私
「よーく見てみな。誰だかわかるかい?」
○美叔父
「なんだ?んん?...○美...か...?
なんでこんな...」
私
「なんでじゃねーよ。」
私はこらえきれず、○美叔父の胸ぐらをつかんだ。
「あんたが○美をこんな風にしたんだろ?」
「あんたも○美が子どものころにこんなこと散々してきたじゃねーか!」
○美叔父
「なっ、なんの話だ!」
私
「丁寧に言わないとわかりませんか?あなたが○美が小学生の頃から数年間、○美に性的虐待を加えていた話ですよ。」
「あんたのせいで、○美の性癖はねじ曲がってしまいましたよ。写真の通りだ。」
叔父は、私がつかんでいた胸ぐらを離して軽く胸元を突き押すと、ヨロヨロとソファに崩れた。
「誰にもバレてないとでも思ってたかい?あんまりナメたこと言ってると世間にブチまけるぜ。」
叔父は口を滑らせる。
○美叔父
「あ、あれは○美の同意があってのことだ!○美には父親代わり以上の存在が必要だった。○美も望んでのことだ!」
私
「へー。11歳や12歳ぐらいの頃の○美があんたとセックスしたがってたからしてやってたってことかい?」
○美叔父
「そうだ。」
私
「あんたバカだな。」
「11歳や12歳の女の子とセックスしてましたって認めて、同意があるからいい?」
「そんな子どもの同意なんて、法律が認めちゃいないぜ。」
「あんたがした行為は法律的にも強姦罪だ。」
さらに、私は、ゆっくりと移動し、電子レンジの上に置いて起動してあったICレコーダーを叔父に見せた。
私
「ちなみに今の会話は録音されています。」
○美叔父
「.....」
私
「叔父さんさー。人生が順風満帆過ぎて、優秀だけど、ちょっと頭ヌルいよね。」
「ついでだから、衝撃の事実も教えてあげとくよ。」
「あんたのムスコ。ムスコさんも、あんたがやってた時期と同じ時期に、○美に性的虐待してたぜ。」
○美の叔父は驚いた表情を見せた。
まあ、そんなことはどうでもいい。
さらに、私は畳み掛ける。
私
「叔父さんさー。とんだロリコン親子だよね?仕事一生懸命して出世するのはいいんだけど、ムスコがかわいいイトコをレイプしないように監督しておいて欲しかったな。」
「帰ったらムスコと酒でも飲みながら、今後の人生についてちゃんと語り合ってよ。」
しばらく反論することもできなかった叔父がやっと口を開いた。
○美叔父
「なにが望みだ。」
私
「望んでねーってwww」
「叔父さんが今日、ノコノコ大物ぶってしのごの言いに来なかったら何も言ってねーよ。」
「オマケに、実際話してみたら、オレの予想を上回るクズっぷりだ。」
「折角、秘密は墓まで持って行こうと思ってたのに。」
○美叔父
「.....」
私
「うーん...そうだな、2つだけ約束してくれたら、このことは口外しませんよ。」
○美叔父
「金か?」
私
「イラナイ、イラナイwww」
「ひとつめ、もう、この離婚問題に口挟まないでよ。それでいい。」
「ふたつ目は、ムスコ共々○美の前に姿を見せないでよ。○美が昔のこと忘れてると思ったら大間違いだぜ。」
「親戚の集まりとかあるだろうけど、毎年仕事だとか、インフルエンザだとか、おなか痛いとか言って欠席すること。」
「簡単だろ?この2つだけ守ってくれりゃ。おれは黙ってるよ。」
「ただ、ふたつ目を守ってくれなかったら知らないぜ。」
「おれはあんたみたいに守らないといけないものなんて、もう無いんだから。」
「おれみたいなのと刺し違えて、全部を失うのも損だろ?」
○美叔父
「...わかった...」
私
「おれはずっと見てるぜ。せいぜいムスコと一緒に死ぬまで不安に過ごすんだな。」
「お話は終わり。さっさとお帰りください。」
○美の叔父は放心状態で帰っていった。
かなりリスクがあるやり方だったが、少しスッキリした。
翌週の始め、○美と一緒に役所に行き、離婚届を提出した。
「じゃあ、元気で。」
そう言葉をかけると、○美はさびしそうな笑顔でうなずいた。
その後、○美とは半年後に偶然会ったきり会っていない。
離婚から半年経った夏の暑い日、大きな交差点の向こう側で手を振る女性がいた。
少し元気になった母親と一緒に外出していた○美だった。
それにしても、離婚した夫を見つけて、笑顔で手を振るところが、相変わらず天然で○美らしい。
私は、信号が変わって歩き出し、横断歩道の真ん中で、○美と○美の母親に笑顔だけ向け、そのままその場を歩き去った。
その1年後、風の噂で○美がUと再婚したことを聞いた。
なるようになってくれて良かった。
その後、○美とUがどう過ごしているのかは知らない。
ただ、未だに一部ネットに流出した○美の画像が今も漂っている。
まあ、○美かどうかは、私と○美とUぐらいしか判別できないものだ。
○美の平穏な生活を乱すことはないだろう。
この話はこれで終わりです。
題名が「性奴隷に堕ちた妻○美」って題名ですが、ちょっと違いますよね。
「紆余曲折を経て、真実の理解者と巡り会った妻○美と、理解者になれなかった間抜けでゲスな夫」ってのがいいかもしれません。
そんな題名だと読んでもらえないので勘弁してください。
内容にかなり不快な部分や、ヘンテコな部分もあったと思いますが、素人のやることですのでご容赦ください。
長々読んでいただいてありがとうございました。
また、気が向いたら次回作でお会いしましょう。
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