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叔父と、叔父の長男による精神的肉体的支配は終わった。
なにより、○美にとって、叔父や叔父の長男との関係が両親に知れるリスクが取り払われたのが、なにより○美を安堵させた。
この後、○美の通う学校が女子校であることもあって、恐怖の対象である男たちとの接触も少なく、○美の精神は安定した。
しばらくの間、○美の年頃の女の子が普通に味わうはずの、平穏で楽しい生活が続いた。
○美は高等部に進学し、そんな生活がそのまま続くかと思われた。
ところがある日、そんな平穏な生活を変えてしまう出来事が起こった。
高等部へ進学し、高校2年生となった○美は、成績優秀で、かなり高いレベルの大学進学が視野に入っていた。
それで、両親の勧めもあり、高校2年の夏から、自宅から少し離れた場所にある、有名進学予備校へ通うことになった。
高校とは逆方向にあり、帰りはサラリーマンの帰宅ラッシュでギュウギュウ詰めの電車に乗る羽目になってしまった。
○美が電車に乗るときは、それほど混んでいない状況なのだが、次の駅でかなりの人数が乗り込んでくるため、毎回○美は電車の連結部に押し込められてしまった。
ある日、いつものように予備校から帰宅するため、帰宅ラッシュで超満員の電車に乗ると、同じように電車の連結部のほうへ押しやられてしまった。
○美はギュウギュウ詰めで身動きが取れず、連結部の扉のほうを向いていると、背後からお尻に何かが当たっているのを感じた。
電車の揺れによって、たまに接触に強弱があり、最初はたまたま何かが当たっているのだろうと思った。
しかし、ひと駅が過ぎると、お尻への接触は上下にさすられるような刺激に変わった。
この時点で、○美は、自分のお尻に接触しているものが、誰かの手であることを確信した。
○美は動揺した。
「痴漢だ」
これまで、叔父や叔父の長男から性的虐待を受けてきたが、こんな経験はこれまでなかった。
もともと、明るいが、内気な性格の○美には、痴漢を撃退するような勇気は到底無い。
ただ、時間が過ぎてくれるのを待つしかなかった。
しかし、ただ単に時間は過ぎてはくれなかった。
○美が抗えないのをいいことに、痴漢の行動はみるみるエスカレートし、○美のお尻をさすっていた手のひらは、お尻のワレメへと移動した。
やがてその手のひらは○美の尻を揉みしだく。
○美は身動きできず、振り返って痴漢行為をしている相手を確認することさえできない。
すると、痴漢は○美の脚の間に足をねじ込んできた。
○美の脚は左右に開かれてしまうと、○美の尻を揉みしだいていた手がスカートの中に入り、○美のパンティーの上からお尻や局部に伸びた。
間も無くその手指はパンティーの中にまで伸びると、直に○美のワレメをさすり始める。
満員の電車は途中の駅に停まるが、電車の混雑具合は変わらず、痴漢の指は抵抗できない○美のワレメの奥に伸び、膣への出し入れに変わった。
やがて、○美が降りる駅の2つ前の駅に差し掛かると、痴漢の行為は止まった。
駅に電車が停まると、ギュウギュウ詰めだった乗客は、一気に電車から流れ出る。
○美がおそるおそる振り返ると、そこにはまばらになった乗客の姿しかなく、痴漢の姿を確認することはできなかった。
放心状態になり家に帰った○美は、さっき自分に起きたことを、まるで他人事のように感じていた。
ただ、股間が愛液で濡れてしまっている自分のことが、自分でも理解できず、愛液で汚れたパンティーを洗い、そのままベッドに倒れ込んだ。
○美は、痴漢の被害に遭いながらも、自分の身体が本来あってはいけない反応をしたことについて、自分の中で封印することにした。
本来、痴漢をする者が悪なのだが、○美は自分を責めた。
「痴漢に遭った自分に隙があったのだ。」
「痴漢に遭うのは悪いこと。」
「痴漢に遭うのは恥ずかしいこと。」
と思った。
それ以後、○美は予備校の授業が終わった後も、1時間ほど自習室で勉強して時間を調整し、帰宅ラッシュの電車をやり過ごした。
すると、やはり同様の被害に遭うことはなくなった。
ただ、○美は、ぼーっとしているとき、痴漢に遭ったときのことを思い出すことが多くなっていた。
それを自分で自覚したとき、自分の中では性犯罪の被害に遭ったことによるトラウマだと思うようにした。
だが、自分が痴漢被害に遭ったときのことを思い出すと、自分の股間が愛液を分泌するという矛盾には、うまい言い訳が思いつかなかった。
あるとき、○美はいつもの予備校帰り、ふらふらと以前痴漢被害に遭ったのと同じ、帰宅ラッシュの満員電車に乗るようになってしまった。
久々に満員電車でギュウギュウに押し込められた○美だったが、痴漢には遭わなかった。
だが、電車内で身動きができなくなった○美はなぜかドキドキしていた。
帰宅すると、やはり○美のワレメには愛液が滲んでいた。
自分で自分がわからなくなった○美は、またふらふらと帰宅ラッシュの満員電車に乗り続けた。
○美が再び満員電車に押し込められるようになって2週間が過ぎたある日、満員電車に押し込められた○美の尻に触れるものがあった。
○美が無抵抗でいると、たちまちその接触は痴漢行為に変わり、さらにエスカレートした。
○美は「身動きが取れないし、怖いから」と自分に言い訳を思い浮かべながら、痴漢にされるがまま、無抵抗だった。
○美が再び満員電車に乗るようになり、週に一、二度のペースで痴漢行為を受けるようになっていた。
○美は毎回パンティーの中に手を入れられ、膣に指を出し入れされる時点で、すでに痴漢の域は超えているのだが。
痴漢の○美への行為はさらにエスカレートした。
痴漢の手は○美の下半身のみではなく、ブラウスのボタンを外し、乳房にまで伸びた。
○美が痴漢に遭うようになって5回目の日、○美が家に帰ると、参考書を入れていたトートバッグに紙片が入れられていた。
紙片にはボールペンで文字が書いてあった。
「またして欲しかったら、毎週水曜日に、同じところに乗っておいで」
と書かれていた。
○美は羞恥心でいたたまれなくなった。
「自分が痴漢行為をして欲しくて同じ電車に乗っていると思われている。」
「わたしはそんなこと望んでない」
「そんな恥ずかしくて、悪い子じゃない」
自分で自分に言い聞かせて精神的な安定を取り戻そうとした。
少なくとも水曜日は同じ電車には乗らないと決意した。
しかし、○美が痴漢被害に遭うときのことを思い浮かべる時間は長くなった。
○美は、また、自分に対するいい言い訳を思いついた。
「わたしはスリルを求めているのかもしれない」
「けっしてエッチな女の子なんかではない」
「勉強で疲れているから、刺激だったらなんでもいいの」
○美は次の水曜日、また、ふらふらと同じ満員電車がくる時間帯に駅のホームに行ってしまった。
今回の○美は自分に言い訳をするために変わった行動をした。
○美は、駅に着くと、トイレに入り、パンティを脱ぎ、ブラジャーを取った。
「スリルを味わうんだから、思いきったことをしてやるの」
そう自分に言い聞かせた。
ところが、いざ、トイレを出てみると、途端に恥ずかしくなった。
スカートで隠れているとはいえ、下半身は裸。
ブラジャーを外した胸は、少しでも姿勢をよくすると、ブラウス越しに乳首の形がクッキリと出てしまう。
○美は腕で胸を隠しながら、不自然な動きでホームへ辿り着く。
○美は迷っていた。
「スリルを味わう」という自分の言い訳で思い切った行動に出てみたが、実際にこれから痴漢に遭ったとき、下着を着けていなかったらどう思われるのだろう。
「とんでもないことをしてしまったのかもしれない」
そう思ったときには、例の電車がホームに着いてしまっていた。
○美は迷った。
しかし、ドキドキして説明のつかない感情に背中を押され、ふらふらと電車に乗ると、いつもの連結部に移動して立ち、次の駅で大勢の乗客が流れ込んで来るのを待った。
次の駅、電車が停車すると、いつものように大勢の乗客が電車内になだれ込んできた。
○美はいつものように連結部に向き、車内中央に背を向け、身動きが取れない状態となった。
このとき、車内に背を向けている○美は、状況がいつもと違うことに気づくことはできなかった。
○美はいつもと違い、○美の方向を向いて立つ、5、6人に取り囲まれている状態であった。
○美はただドキドキして目をつぶっていた。
電車が動き出して間も無く、○美はいつもと違う状況に気づくことになる。
○美の身体に伸びる手は1本ではなかった。
○美の太ももからお尻へ撫であげる手、スカートをたくし上げ尻をわしづかみにする手、○美のワレメに伸びてさすり始める手。
上半身は両方の乳房が揉みしだかれ、やがてブラウスのボタンが外されて、ノーブラの○美の乳首へと伸びた。
男たちに取り囲まれ、外部から○美が受けている行為は一切外からは、うかがい知れない。
男たちの行為は激しい。
○美のワレメに伸びた指は膣に出し入れされ、別の指は○美の肛門にも伸びた。
○美は肛門に指を入れられるなどということをされたのは初めてだった。
しかし、この状況では逃げることなど不可能である。
やがて○美は膣に何か振動する異物を出し入れされ、不覚にも性的絶頂を迎えた。
電車内では声を上げることもできず、ただ息を殺して耐えたが、性的絶頂を迎えた○美は自力で立つことができない状態だった。
しかし、密着した男たちの手が○美を支え、しゃがみ込むことさえ許されない。
○美は男たちに宙に浮かされた状態で激しく性的な蹂躙を受けた。
20分ほどの間だっただろうか、○美が降りる二つ前の駅に差し掛かると、男たちの行為が止まった。
そして、電車のドアが開くとともに、男たちも一斉に電車の外へ流れ出て行った。
電車の奥に残された○美は、他の乗客に見つからないよう、外されていたブラウスのボタン3つをとめた。
ゆっくりと後ろを振り返ると、特に○美を気にする風でもなく、まばらに乗客がいるだけであった。
○美は引き続き立っていることができず、ゆっくりと座席に向かって座ると、さらに脱力して放心状態となり、ぼんやりと宙を見つめるしかなかった。
次の水曜日、○美は再び同じ電車の同じ場所に乗った。
再び○美の身体は容赦なく男たちに蹂躙された。
○美はもう深く考えなかった。
思考を停止させ、ふらふらと同じ電車に乗る。
ところが次の週、男たちは現れない。
その次の週も現れなかった。
それ以後、○美が同じ電車に乗っても男たちは二度と現れなかった。
どうして男たちが現れなくなったのか...
理由はわからない。
○美は電車内で男たちに蹂躙されたことばかり思い浮かべ、悶々とした日々を過ごした。
理由はわからないが、男たちは現れない。
○美はどうしていいかわからず、予備校帰りにパンティとブラジャーを取り、夜の繁華街から入った暗がりを徘徊した。
男たちから受けた行為と同様の行為を受けたかった。
そんなことをしていれば危険な目に遭うのは当然だった。
ある日、○美は突然腕をつかまれ、裏路地の暗がりに引きずり込まれた。
いきなり腹を殴られ、髪の毛をつかまれて顔を上げると、スキンヘッドの男にナイフを見せられた。
「声を出したら殺す」
そう言われた。
○美は恐怖で身動きがとれず、声を発することもできなかった。
スキンヘッドの男が、○美を脅して身体を触り初めて間も無く、○美がノーパン、ノーブラであることに気づいた。
男が言った。
「なんだ?オマエ、子どものくせに淫乱な女なんだな」
○美は涙を流した。
生まれてから、そんな卑しい言葉を浴びせられたことはない。
○美は涙を流しながらも声を押し殺し、男のなすがままに従った。
裏路地のビルの壁面に両手をつかされ、背後から男のペニスで激しく突かれた。
男は射精すると間も無く、○美をその場に残し、足早にその場を立ち去った。
○美は恐怖から、しばらくその場を離れることができなかったが、なんとか恐怖から回復すると、自力で家へ帰り着いた。
○美はこの恐怖と恥辱に満ちた経験から、やっとふらふらと繁華街をさまようようなことをやめた。
しかし○美は認めざるを得なかった。
自分は歪んだ性癖を持っている。
「自分は汚れた存在だ」と思った。
これ以後○美は自らを危険に晒す行動をとらなくなったが、性的に悶々とした日々を送った。
ただ、○美にとって一番大切なのは両親の心の平穏だった。
○美は両親の前で、ひたすら明るく努め、勉強に励み、志望していた有名私立大学に進学した。
大学に入るまで女子校通いだった○美も、共学の大学に進学したことで、普通の恋をした。
相手は同じサークルの先輩で、思いやりのある優秀な人物だった。
元来、明るくひとなつこい性格の○美は、男性からの受けもよく、先輩と恋人としての付き合うことができた。
付き合いは順調で、2年ほど付き合いが続いた頃、○美は彼を絶大に信頼していた。
そんな中、かつて自分が受け、一生自分だけの秘密としておこうとつらい経験を、一緒に背負ってくれるかもしれないという期待が芽生えた。
○美は迷ったが、彼に自分の過去を打ち明けたのだった。
彼はけっして○美の存在を否定しなかった。
人としての尊厳を傷つけることもなかった。
しかし、二人の関係は、以前のような自然体ではなくなってしまった。
誰が悪い訳でもない。
しかし、二人の間の空気が変わってしまい、付き合いは息苦しいものとなってしまった。
結局○美は彼に気を遣い、二人は別れることになってしまった。
彼が悪い訳ではない。
○美は、やはり、「わたしの存在はけがれたものだ」「もう二度と誰かに過去のことは話さない」そう心に誓って、深く傷ついた。
これが○美に起った過去の秘密の全容だった。
○美が私にこのことを話さなかった理由もわかる。
ひとりで抱えこめなくなって、優しかったUに再び話してしまった気持ちもわかる。
また、○美の秘密の秘密を打ち明けられて、自分だけの心に秘めておくのが重苦しかったUの気持ちもわかった。
私は自分が情けなかった。
○美の内に秘めた苦しみなど全く理解していなかった。
Uによれば、今も○美は、親戚の集まる席で、叔父や叔父の長男と顔を合わせると、動悸や頭痛、吐き気がするらしい。
そんなことも知らず、私は○美の叔父や叔父の長男を尊敬すらしていた。
まったく自分の間抜けぶりが嫌になった。
Uは私にこの話をして、吐き気がすると言った。
私も○美の叔父や叔父の長男の外道ぶりに吐き気を催さずにはいられなかった。
私は今後どう行動すべきか。
1か月ほどじっくりと考えた。
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