島田は今年28歳になるところで独身、顔だちも整っていてプロポーションもなかなかで、彼氏の一人二人いても不思議じゃないのに浮いた話はないという。
「こんなにきれいな女性をなんで世間の男は放っておくのかね~?」
「でしょ~支店長!大学の時から付き合ってた彼と、社会人になったら遠距離恋愛になっちゃって、25の時に別れて未だひとりなんですよ。誰かいい人いませんか?」
「いい人だったらここにいるけど、関係を持ったら不倫になっちゃうしなあ(笑)」
「支店長、セクハラっぽくなってきましたけど~」
「だな。まあ気に止めとくよ。」
そんな会話をしながら呑んでいたが、おなかがいっぱいになってきたので、会計をして店を出た。
21時近くになっていたので駅まで送ろうかと話すと、バーに連れてってと言う。まだ時間も遅くはなかったので、先日取引先の社長が紹介してくれた駅の近くの店に連れて行った。
カウンターに座りバーボンのロックを頼み、彼女はバーテンに甘口でお勧めのカクテルを頼んでいた。
そこからは彼女の一人喋りの聞き役になり、仕事の人間関係から恋愛観まで、愚痴ともつかない話を延々と聞かされた。
11時を回りそろそろ帰ろうかと駅まで送り、かなり酔っぱらっている彼女が心配だったので、電車ではなくにタクシーに乗せ、運転手にチケットを渡して行き先を告げた。テンション高めの彼女を乗せたタクシーが行くのを見送って、歩いて帰途についた。
翌朝支店長室に彼女がにこやかに入ってきた。
「支店長夕べはどうもありがとうございました。それとご馳走様でした。とっても楽しかったです。そうそう、しばらくは支店長がいい人になってくれてもいいですよ~また呑みに連れて行ってくださいね。」
そう言って踵を返すと颯爽と出て行った…二日酔いじゃないんだ。いい人かぁ、どう受け取ればいいのかなぁ?まだ働いていない頭でぼーっと考えていた。
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