ケンは部屋に戻り、今、目にした現実が受け入れられなかった。
毎日毎日、洗濯から、飯の仕度、風邪でもひけば献身的に看病してくれた、あの女将がと思うと。でも、間違いなく、バイブを使って自らを慰めていた。
(ちょっと、顔でも洗って冷静に。。。)
ケンは、顔を洗いに洗面所へ行き、顔を洗おうとすると、女将が。。。
「わっ!びっくりしたわ。ケンちゃん。何でいるの?田舎に帰ったんじゃなかった??」
「あ、はい。ちょっと訳あって、たった今帰って来たところです。」
「そ、そうなの?びっくりしたわ。誰も居ないと思い込んでたから。。。」
「す、すみません。電話一本入れとけば良かったですね。」
「違うのよ。いいのよ。気にしなくても。で、たった今帰って来たの??」
「はい。今さっき。」
「そ、そうなんだ。。。」
女将はさっきまでの行為を見られて、聞かれていないか心配でならなかったが、ケンの言葉でとりあえず安心をした。
「お正月はゆっくりできたの?」
「ま、とりあえずは。オヤジも元気そうだったし。」
「お友達とかは、会えたの?」
「それが、みんな彼女と遊ぶとかで、つきあい悪くて、ちょっと会っただけで。。。」
「そうなの?今の若い子は、その辺は彼女を大事にするわよね。ケンちゃんは彼女は?」
「いませんよ。中々、知り合うきっかけもないし。。。」
「そうなんだ。いい人が見つかればいいね。」
「はい。ありがとうございます。」
「じゃ、リビングでちょっとお酒でも飲む?」
「い、いいんですか?」
「もちろんよぉ。いいお酒をもらったから。どう?」
「もちろん。いただきます。」
「じゃ、ちょっと用意するからね。」
女将は、そう言って台所へ。。。
台所へ立つ女将を改めてみると、パジャマにカーディガンを羽織っていた。
(でも、さっきまで、あの女将がオナニーを。。。信じられない。。。)
「ケンちゃん。リビングで待ってていいのよ。そんな所に突っ立ってないで。」
「い、いや。台所へ立つ女将を自分の母親も生きていたら。。。とか思って。。。あんまり記憶にないんですよね。母親のことが。。。」
「そっかあ。そうよね。お母さんを早くに亡くしたって言ってたもんね。」
「だから、何となく見てただけなんで。」
「こんなおばさんを?ま、早くリビングに座ってテレビでも見てて。すぐに仕度するから。」
そして、ケンはリビングへ行きテレビをつけて、女将を待った。
「はーい。お待たせお待たせ。私一人だったから、冷蔵庫にも何もなくてね。ほんと適当に作ったから、食べて。お酒も。ほら!これ!おいしいらしいよ。」
「ありがとうございます。」
「じゃ、御酌するからグラスを持って。」
「僕も入れます。」
「あら?そう?じゃ。」
「乾杯!」「乾杯♪」
「このお酒、旨いっすね。」
「ほんとほんと。おいしいわ。さあ、料理も食べて。遠慮しなくていいのよ。」
「いただきます。」
「どうぞ、召し上がれ。」
(女将の匂いが。。。石鹸?シャンプー?何かフワッと。。。こんなに良くしてくれる女将でも、オナニーをするなんて。。。しかも、バイブを使って。。。バイブなんかどうして持ってるんだろう???)
実は、女将が使ってたバイブは従業員からのプレゼントであった。それは5年ほど前の女将の誕生日の時に。。。
「ハッピーバースデー!女将さんおめでとうございます!」
「みんな、ありがとうね。」
「これからも、よろしくお願いします。」
従業員達はそれぞれ、女将に誕生日プレゼントを用意していた。
「女将さん!誕生日プレゼントです。」
「あっ!俺も!」
「俺も用意しました。」
「僕も買ってきました。」
「えー?こんなにも。みんなありがとうね。」
「おい!みんながプレゼントしてくれたんだ。ここで、開けてみろよ。」
親方がそう言うと、
「わかりました。じゃ、1つずつ。。、」
女将の好物の和菓子やら、ハンカチ、エプロンなどが、開けられ。そして、最後のプレゼントを開けると。
「えっ!何これ?」
「ハハハハッ!誰だよ、こんなもの買ってきたのは!」
「これは、みんなでジョークのつもりで。」
「は?これバイブやんけ。しかも、まあまあデカいし。俺に対する当て付けか?」
「え?親方!どういう意味ですか?」
「バカ野郎!こんなデカいの。俺のより全然デカいやないか。」
「そ、そうなんですか?親方は大きいものだと思ってたもんで。」
「何の先入観で。こんな大きいわけがあるわけ。。。な、母さん!俺のに比べたらなあ?」
「あ、あなた何言ってるの。冗談はそれくらいにしてください。」
「お前らなあ。みろ!叱られたやろ。それともなにか?俺が役にたたないとでも?」
「いやいや。ほんと、深い意味はないんで。」
「そうかあ?ま、今日の誕生日会の場を盛り上げたってことで、許してやるよ。」
「ハハハハッ。」「ハハハハッ。」
「セーフセーフ(笑)叱られるかと思ったし。」
で、そのバイブを棄てようか、どうしようか、考えているうちに、仕方なくタンスの一番奧にしまっていた。
そして、たまたまの休暇中に一人きりになったのもあり、普段の忙しさから開放され、少しムラムラ来たので、バイブのことを思いだし、初めて使ってみることになった。
二人はテレビを見ながら、ああでもない、こうでもない等と話し、世間話なんかで二人で盛り上がった。
「結構、飲んだわよね。」
「お酒もだけど、料理も美味しくて。それに女将と二人でなんて、初めてで。」
「そうよねえ。私もお酒を男の人と二人でなんて。もう、いつだったか覚えてないくらいだわ。」
「こうして、母親とお酒とか飲みたかったなあ。。。でも、女将と飲めて、そんな気分になれました。」
「そう?それなら、良かったわ。」
「女将さん。。。俺。。。俺。。。」
ケンは、半べそをかきながら、女将の胸元へ飛び込んだ。
「ケ、ケンちゃん。どうしたの?急に。」
「しばらく、こうしてさせて下さい。しばらく、俺の母親の変わりに。。。」
「いいわよ。泣いてもいいのよ。気が済むまで。私で良かったら。。。」
「す。すみません。女将さん。。。」
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