50歳で独りになった俺は、君江の思い出と共にボンヤリ生きていた。
君江の一周忌が終わったあと、久々に参加した職場の飲み会で、二次会を断り、目に入った「ラブ イズ オーバー」というスナックの名前に何となく導かれて入った。
小さなカウンターに綺麗な熟女ママがいた。
どこかで見たような・・・隣の客が、
「美佐子ママ、そろそろ行くわ。」
「あら、そう。また来てね。」
美佐子!そうだ美佐子だ!俺が気付いた時、
「いらっしゃい。お久しぶりね・・・二十・・・六・・・年ぶりかしら・・・」
「覚えていたんだ・・・俺もびっくりしたよ。」
「ちゃんと幸せな結婚できた?」
「ああ、でも、1年前に他界した。子供は今、東京にいる・・・」
「そう・・・残念だったわね・・・」
「君は?」
「ずっと独りよ。あなたと別れた後、両親も亡くなって、8年前にこの町に戻ってきたの。」
「子供は?女の子がいたよな?」
「結婚して子供がいるわ。幸せにしてる。」
「父親はどうしてるんだ?」
「もうとっくに亡くなったわよ。今だから言うけど、私ね、高校生の頃、ある有名人の愛人してたのよ。家が貧乏だったから売られたようなもんなんだけどね・・・」
「有名人?」
「そう、この町出身の大物芸能人・・・私は16歳の処女を当時50歳の大物芸能人に100万円で売って、その後も玩具にされ続けたわ。そして妊娠させられた・・・堕胎費用と口止め料貰ったけど、産んだの。勿論認知されてないわよ。」
「そうか・・・そんな過去があったのか。だから俺の前から消えたのか・・・」
「それは違う。娘が・・・娘があなたを好きになったからよ。思春期の娘が勉強教えてもらってるうち、恋心を抱いて・・・中学生の女の子って体は大人になっていくから・・・我が娘にあなたを盗られる夢を何度も見て・・・そこに父から戻って来いと・・・」
「そうだったのか・・・」
「私も58歳、還暦まであと1年半・・・還暦前にはこの店閉めて、両親が眠る故郷に帰るつもりよ・・・」
「それまではこの町にいるのかい?」
「ええ・・・」
「今日、家に来ないか?」
「私の家に来れば?私、あなたの家を知りたくないし、愛した奥さんの匂いのする空間に入りたくない・・・」
58歳の美佐子の肉ビラは26年前と変わらなかった。
亡くなった君江の真っ黒い肉ビラを見慣れていたせいか、あまりの美しさに驚いた。
「アアァ~~~・・・中に、中に出して・・・」
夢にまで見た美佐子への中出しが、26年の歳月をかけて実現した。
「最後に男の人に抱かれたのは、13年前だった・・・」
「その人と結婚しなかったのか?」
「出来るわけないじゃない・・・娘のダンナよ。娘が出産で不自由してて、お義母さんって押し倒されて・・・娘がセックスできるまでの3か月間、仕方なく犯されてた・・・それが人生で三人目の男。あなたが二人目・・・」
「それで居づらくなってこっちに来たのかい?」
「まあね・・・私を抱いた男が娘も抱いているのよ。平静にしていられないわよ・・・」
こうして美佐子と再び愛し合うことができた。
1年半が過ぎ、美佐子は店を閉めてアパートを引き払った。
「じゃあね。さすがにもうこの町には来ないと思うわ・・・」
ダメ元で言ってみた。
「美佐子・・・俺と、暮らさないか?」
「無理・・・あなたを愛した奥様の思い出が詰まった場所に、私は行けない。」
「そうか・・・ラブ イズ オーバー か・・・」
「そうね・・・ラブ イズ オーバー ね・・・」
歩き出した美佐子を見送るとき、また、ラブ イズ オーバー が頭の中で流れた。
そのまま雑踏に消えるかと思ったとき、美佐子は振り返り、走って戻って来て、
「本当に心から愛した男は、私の人生であなただけだから。それだけは言いたかった・・・じゃあ、さようなら・・・」
今度は足早に去って行った美佐子は振り返らずに雑踏へ消えた・・・
6年前に娘が嫁ぎ、俺は来年3月いっぱいで定年退職する。
娘が嫁ぐとき、連れ合いを亡くした叔母(亡くなった君江の妹)に言った。
「叔母さんも、1人だと寂しいでしょ?お父さんも寂しそうだし、一緒に暮らしたら?アパート代も勿体ないでしょ?」
6年前から義妹の靖子と暮らしている。
6年前、君江を亡くして4年の54歳の俺と、離婚して11年の46歳の靖子が義兄妹で初めて交わった。
君江より細い靖子は、11年ぶりのセックスをとても恥ずかしがっていた。
肉裂を開かれた時、顔は真っ赤だった。
46歳のバツイチ女が、ドドメ色のマンコを見られて恥ずかしがるのが可愛かった。
それでも肉棒の味を思い出すにつれ、性の渇きが肉穴を濡らした。
靖子は子供が出来ずに離婚された女だったが、生理があるうちは中には出さなかった。
今、閉経を迎えた靖子には、中出しさせてもらっているが、それと共に靖子に対する愛情も芽生えていた。
俺達は再婚はしない。
俺は亡くなったら君江と共に眠るつもりだし、靖子もそれを望んでいる。
今、この束の間の時間、靖子と夫婦ごっこをしているだけなのだ。
俺は、靖子に芽生えている愛情を必死に隠しているが、靖子はそれに気づいていると思う。
それどころか、俺は靖子の愛情を感じている。
それでも、俺も靖子も再婚することは君江に対する裏切りに思えているのだ。
だから俺達は、義兄妹で愛し合っているのだ。
再び君江に会うその時まで・・・
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