私はPCをしまい平静を装い店を出た。
理性を失ない大切な人を傷つけた贖罪と私の中に眠る狂気を胸に隠して…街が色褪せて見えた。
そして日常が戻った。
妻もあの日の出来事を振り返ろうともしない。
まるで、何事も無かったかのように…
週末、彼と会うことになった。
彼からは動画の入ったSDカード、地図、報告書、車の鍵を手渡された。
今後、動画のSDはこのクルマのナビに入れることになると告げられた。
彼は事務的に話終えると、話しかけようとした私を無視してどこかに消えた。
報告書には妻の所属するサークルとの接触に成功し、客として潜入する事に成功した経緯が書かれていた。メンバーからの紹介が条件らしい。メンバーへの聞き込みから、通常の撮影会である事がわかった。 VIPサービスは一部の限られた人間にのみ提供される為、情報は全くない。
最後に継続追跡調査中であると書かれている。
帰宅途中、いつものマンガ喫茶でいつもの用に動画を再生した。
最初の動画はカバンに仕掛けられた隠しカメラの映像だった。
スタジオというよりもどこかのマンションのような場所で4名のモデルが並んでいる。
順番に自己紹介をしていく。
妻以外は25歳前後でスタイルも良くかなり美人だ。
この中だと妻も普通の顔に見えてくる。
4人のモデルがそれぞれ様々な場所で様々なポーズを撮り始めた。
カメラマンは彼を含め8名いた。
若い子くて可愛い子や美人に群がっている。
妻には彼だけ……だった。
彼と楽しそうに会話しながら撮影をつずけていく。
少しずつポーズが過激になっていく。
過激になった妻にカメラマンが殺到する…
他の若い子もどんどん過激になる… 妻から人が離れていく…
まるで あて犬のようだ……
妻はいつもこんなの屈辱を味わい続けていたのだろうか…
彼は終始妻だけを撮影し続けた。
撮影会は1時間程度で終了した。
彼は妻に何か話しかけていたが音声は雑音だらけで聞き取れない。
妻は喜んでいるようだ。
そして、例のスマホを取り出し電話した。
ここで動画が終わった。
次の動画を再生した。
この映像も隠しカメラだ。
場所はかなり狭いスタジオだ。
今回は1対1の撮影のようだ。
私が妻を犯した翌日だ……
妻は濃いめのメイクで顔色を誤魔化しポージングを進めていく。 程なく撮影が始まり、妻に声をかけながら、複数のカメラを持ち替えてはバシバシシャッター音を響かせていた。
10分もしないうちに突然 彼の動きが止まった。
彼は休憩しようと提案し、妻から少し離れた位置に腰掛けた。
妻もその場に座ると、どうでもいい世間話をはじめた。
彼は撮影に戻る前にリクエストをしたいと妻に言った。
かなり専門的な単語を並べていた… 照明や背景のスクリーン等をもっとこだわりたいみたいな事だと理解したが…よくわからなかった。
困惑する妻に、
「今日みたいな印象の日には、もっと影のある雰囲気が映えるのに……惜しいなぁ… 機材持ち込めたら…」
本職のカメラマンみたいなことを言っていた。
妻は何かを言いかけたが、声には出さなかった。
すると彼は、
「今日はもう辞めよう。 撮りたいイメージが湧いちゃったから取り敢えずの撮影では満足できないよ。 残り時間は撮影じゃなく話したいなぁ… 次のイメージの参考にしたいから…コミニュケーションも大切じゃない?」
妻は困惑している。
彼は一方的に身の上話をはじめた……私との思い出ばかりだった。
彼の話す妻の知らない私に興味を抱いたようで、次第に笑顔が戻った。
そこからは色々と妻も話だし、会話に花を咲かせていた。
タイマーの音がなり、撮影時間が終わりを告げた。
彼はイメージが膨らんできたと子供ものようにはしゃいでみせると、妻は笑顔で指切りをせがんだ。
二人は来週の撮影予約を指切りで約束し、彼は片付け始めた。
動画はここで終了した。
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