しばらくして私は家を出た。
妻は私を見送り時計を気にしている。
ソファーに座り化粧をはじめた。
こころなしかいつもより派手に見える。
ただ、基本的にはナチュラル系のメイクだ。
入念にメイクを施し、洋服を選ぶ………
ベージュ系のフワッとしたパンツルックに
ブラウス そしてジャケットを羽織りコートを手に持っている。
オフィス街で見かけるOLのようだった。
何が起きているのか検討がつかない。
アリバイ工作なのか?
大きめのトートバックに紙袋、スマホ2台、見た事の無い財布を収納した。
AM9:30 妻は家を出た。
PM20:30 私が先に帰宅した。
PM20:50 妻が帰宅....
なぜだ………? 妻の服装が変わっている。 一度も家には帰っていないが、お気に入りの服を着ている。
私は相変わらず………何も気づいていない。
5日目以降も不定期で繰り返される妻の日常…
気づけば既に2ヵ月間 監視だけを続けている。
既にモニターに写る妻は別人として認識出来るようになっていた。平常を装う事にもなれ、いい夫役という作業をこなした。
わかったことは、
出勤帯
午前中出勤は月曜~水曜に集中している。 午後出勤は木曜日が多い。 終日はあまり無い。 金、土、日は休みのようだ。
午前中は一般 午後は一般とVIP
VIP用の出勤にはタクシーを使っている。
だからなんだ… わかったところでどうする…
無力で情けなかった。
そんな時、親友が上京してきた。
彼は大学卒業後、家業を継ぐために故郷に戻っていた。
彼と飲みに出る事になった。 というよりも、待ち伏せに近い状態で逃げられる状況ではなかった。
妻に遅くなると連絡を入れ、半ば拉致された。
久々に会う親友との夕食は久しぶりに味がした。
数時間程、昔話や仕事の話をしたが…内容は全く覚えていない。
私達は店を替えた。
向かったのは昔通った居酒屋だった。
彼は店に入り勝手に注文をはじめた。
「ホッピー 焼酎ダブル 2つと 漬物 串盛り10本のセットで 」
本当に懐かしい注文だった。
彼はスーツの上着、ネクタイを外し
「さぁ 何時間でも話聞いてやる………何があった?
いつからそんなつまらない顔の男になったんだ?」
と言ってきた。
正直 今なら確実に鬱陶しいと感じるが、この時不覚にも涙がこぼれた。
彼にすべてを打ち明けた。
彼は顔色一つ替えず。黙って聞いてくれた。 時折、言葉に詰まり無言が続いても ただ、そこに居た。
話終えると…
彼が話はじめた。
「終わりか? ……そうか キツかったな… まだ好きなんだな? 戻ってきたら受け止めるんだな? 」
しばらく考え込んで…彼と色々なケースを相談した。
そして気づいた。
私達夫婦にはネトラレ願望があるのではないかと…
子宝に恵まれず、sexがマンネリ化した事からの刺激が欲しかったのではないかと…
彼は私の気持ちを理解してくれた。
閉店時間が迫り、店を出た。
久しぶりの開放感と酔いで 彼を家まで連れて帰った。
時刻は深夜2:30だった。
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