「あなた、私パートに出ようと思うんだけど」
「そっか、すまないな」
夫の隆の返答に、直子は少し嬉しくなった。調子が悪く寝込んでいるが、返答があったことでホッとした。
直子は先日見たクリーニング店のドアをくぐった。
「小島直子さん、経験はなし」店長の野際が履歴書を見て呟いた。
緊張した直子は、自分より若く大人しそうな野際を見つめ言った。「クリーニング店で勤めたことはありませんが、頑張ります」夫の休職が長引けば、金銭的にも余裕はなくなる、家からも近いパート先はそう見つからない。何としても採用されたかった。
面接の今日は、髪色も明るく染め直し、しっかり化粧もしてきた。あざといかもしれないが、少しサイズの小さいブラウスを着て胸元も強調していた。
「まあ、マニュアルもあるんで、大丈夫でしょう。来週から、来れますか?」野際の言葉に直子は「はい」と明るく答えた。(良かった、採用だわ」
直子の笑顔は20代に見える程若かった。
クリーニング店の制服を渡して直子が帰った後、野際はニヤリとした。(すごい巨乳だな。人妻だし、うまく堕とせば最高だな)野際の股間が固くなっていた。
クリーニング店[洗い屋]
チェーン店のクリーニング店、直子以外には50代の気さくなおばさんが二人。直子は勤め初めて1ヶ月。
仕事にも慣れて、楽しく働いていた。
「小島さん、ちょっと来てちょうだい」
店長の野際に呼ばれ直子は店奥の小さい事務室に入った。
「何でしょうか、店長」
直子が野際の前に立つと、事務机にシャツが置かれていた。
「これ、先週小島さんが受けたシャツ」
店長がシャツのタグを示すと、直子の名前が書いてあった。
「はい、、私だと、、」直子は不安げに確認して答えた。
「これイタリア製のブランド品で、丸注だよ」
「えっ!」
直子は驚いた。丸注とはクリーニングで縮むため注意のサインを書いて出す品だった。
「ま、まさか」
「縮んじゃってるんだよ。さっき工場から届いたんだよ」苛立つ野際は直子をにらんだ。
「すみません、、」謝る直子。
「しかもこれ、お得意様の日村様のシャツだよ」
(どうしよう、こんなミスしてしまって)
直子は、半泣きになり戸惑った。
「とにかくこれ持って、日村さんの家行って来て」
直子は野際から、弁償金の入った封筒を渡された。
野際から、日村の家の地図を渡されクリーニング店を出た。(どうしよう)不安な気持ちのまま直子は日村の家に向かった。
直子の後ろ姿を見送りながら、野際はスマホを取った。「もしもし、日村さん。今向かわせました。後は、日村さん次第で」
野際はニヤニヤと笑っていた。
※元投稿はこちら >>