私は両手で手を握りしめじっと志保さんを見つめる
志保さんの困惑した顔がなんともたまらない
勿論キスなどするはずもない
頭の中に私を刷り込ませるのだ
「…志保さん」
「…はい」
「会って数時間しかたっていませんが、あなたの事が好きです」
「……」
「志保さんは私の事どう思っていますか?」
「……」
明確な答えは待っていない
勿論私の事をただの遊び人と思ってるかもしれない
しばらく沈黙が続いた
志保さんがうつむきモジモジしている
そして志保さんが何かを言おうと顔を上げようとした瞬間
「すみません…困らせてしまいましたね。ホテルの近くまで送ります」
「あっ……はい」
車をホテルの正面ではなく、裏に停める
「ここだと同僚の方にも見つからないでしょう」
「…はい…あの」
何かを言いかけたが、私はあえて聞かず車から降りて助手席にまわりドアを開ける
「どうぞ」
「ありがとうございます」
志保さんが車から降り、ドアを閉めた瞬間私は志保さんを抱き締めた
これが最後の勝負
これで叫ばれでもしたらお縄物だ
「また後でLINEします」
「……」
耳元で囁き、離れ車に乗り込む
助手席の窓を開けお礼を言うとそのまま走り出した
時計は17時55分を表示していた
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