(6日目中盤)
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
浴室の給湯リモコンに現在の時刻は16:18とデジタル表示されていた。
お湯を出した私は、浴室の椅子に座り、頭を下げて、全身にお湯を浴び続けている。
ビクリッ
体が震える。
知らない内に、右の手を愛情の受け口部に伸ばしてしまっていたようだ。
『ね?やっぱり逆らえないでしょう』
「うるさい……」
『いい加減受け入れてよ。』
「いや!」
『私と貴方は同じよ。』
「違う………!」
『じゃあ、どうしてまた私を外に出してくれたの?』
「それは……」
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
シャワーの音が浴室内に響き渡る。
……………………………………………………
夫との電話を切った後、私は車で5分くらいの距離にある近所のスーパーに向かった。
時間はまだ10時を過ぎたばかりだから、今行けば朝イチの値引き市に間に合う。
そうして、私はスーパーで食材やお菓子を買い込み、自宅へ帰宅し、食材を冷蔵庫に。お菓子は子供の手に届かない高さの棚にしまった。
買い物を終えて一休憩しようと思い、私はソファーに座りテレビをつけた。
テレビでは、地元の県の高校がベスト16進出を目指して東北地方の高校と試合をしていたので、別に他に見たい番組もなかったので何となくその試合を眺めていた。
残念ながら地元の高校は、その試合で敗退してしまい、私は試合終了を見届けた後に、先ほどスーパーで買ったホットケーキの菓子パンをお昼代わりに食べた。
時刻を見ると、午後1時近くになっていたので、私はサイクロン式の掃除機を手にして、家中の掃除を始めた。
夏休みに入り、普段子供達がいると中々掃除が捗らないでいたのが、今日は子供達もいないので一段と掃除も捗っていく。
一階の和室の掃除を終えた段階で、とりあえず干していた布団をベランダから取り込み、和室の端に重ねていく。
物干し竿にかけていたバスタオルはすっかり乾いていたが、バスタオルに隠されたせいで、日差しの悪くなってしまった角ハンガーにかけていた下着はまだ一部が若干湿っているようだったので、バスタオルを取り込み、陽に当たるようにした。
二階のバスタオルを手にしたまま、主寝室に入りベッドの上にバスタオルを放り投げる。
廊下に置いてあった掃除機を主寝室に持ち込み、部屋の掃除を始めた。
主寝室とはいっても、今は子供達の遊び部屋と化しており、床にはおもちゃが散乱していた。
新婚当初に買ったセミダブルサイズのベッドがあるが、このベッドも今は夫とセックスする時に子供達が寝静まった後に和室から移動してきて使っている程度だ。
私は床に散らかっておもちゃをおもちゃ箱の中に放り込み、床に掃除機をかけた。
掃除機をかけおわり、ベッドのシーツや薄手の掛け布団を直そうとした時、昨日のホテルでの出来事が私の頭の中にフラッシュバックしてきた。
『やっぱりね(笑)忘れられないんでしょ?』
私の中の女の本能が声をかけてきた。
「違うわよ。昨日のは仕方なかっただけなんだから。」
『そんなこと言っちゃって(笑)本当は今すぐにでもしたいくせに(笑)』
「しない。もう絶対あんなことしないんだから。」
『そうやって本当の私を受け入れたくないだけでしょ。』
「十分受け入れてるわよ。」
『じゃあ、どうして今、私を出してくれないの?』
「無理。私もうあんなこと出来ない」
『うそうそ(笑)私知ってるよ(笑)証拠見せてあげようか?』
「証拠?」
『ベランダから隣の家見てみなよ。今、貴方おかずにされようとしてるんだから。』
私は主寝室とベランダを繋ぐドアから隣の家を見た。
隣家は外壁工事の最中で足場が組まれ、薄い黒色のシートがかけられている。
お盆休暇で作業は行われておらず、また、隣人もお盆で実家へ帰省しており、家人は不在だった。
『目逸らさないでよーく見てみなよ(笑)』
隣家をじっと眺めると、シートの向こう側に人影が見えた。
そして、シートの切れ目の部分から私の家のベランダに向かってスマホで写真を撮っている。
バスタオルがなくなり外からでも容易に確認出来るようになってしまった、干してある私の下着を撮影しているのだ。
以前捕まった変質者と同じ行動だ。
やがて、その男は下半身に手を当てて、ズボンの上から股間部をまさぐり出した。
私は声も出さずに、その一連の行動を凝視していた。
やがて、その男の股間部にじんわりと染みが広がっていき、男は立ち去っていった。
その様子を見ていた私は下腹部が熱く疼き、いつしか腰から崩れ落ちて座り込んでいた。
『ほらね(笑)私はずっと知ってた。そして、貴方も知ってた。』
「……知らない。」
『嘘よ。私が知ってることは貴方も知ってる。貴方が知らないことは私も知らない。』
そう。本当は知っていた。今朝、ベランダに出た時に、さっき見た男が外からこちらを見ていたのを。
だから、私は下着を外から見えないようにしていた。
『自分が見られてることも知ってたでしょ?』
そうだ。スーパーに出掛ける時に車に乗り込もうとする私を、その男は私を見ていた。
『そして、貴方はあえて見えるようにした?違う?』
その通りだ。以前の私なら、絶対に下着を取り込んでいたのに、あえて下着を見えるようにした。
ただ、私はそれを知らないふりをしていただけだ。
「もう……どうしちゃったの。私。」
『私を受け入れれば楽になれる。それを、貴方自身も望んでる。』
私は、無言で立ち上がる。
ベッドの上に置いたバスタオルを広げ、無造作に着ていた服を床に脱ぎ捨てた。
『そうよ!早く一緒に堕ちよう?』
嬉しそうに話す、もう1人の私に対し、私は
「分かったわよ。だから、しばらく黙ってて。」
私は主寝室の出窓部分に置いてあったスマホ用のポータブルスピーカーの電源を入れた。
私は普段はJPOPしか聞かないけれど、一時期、夫がレゲエにはまっていた時期に、iPodに沢山ダウンロードしたレゲエ音楽をかける。
そして、下着姿のままベッドに横たわり、私はぐっしょりとしめったショーツを上から触った。
ビクンッ
もう、止められない。
私は、そのまま手を全身に這わせはじめた。
……………………………………………………
ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ……
室内にはレゲエの音楽に混じり、私の乱れた吐息の音が響いている。
うっすらと開けた目で自分のスマホで時間を確認すると丁度午後4時になったところだった。
ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ……
まだ覚めやまぬ私の吐息。
しばらくすると
『ハァハァハァハァ……あー!気持ち良かった!』
女の私がそう語りかけてきたが、私は息が乱れていて声を出すことすらままならずにいた。
『凄いね!結局2回も逝っちゃったね!』
体中が汗ばみ、バスタオルには私から流れ落ちた愛の液体が広い範囲に染みこんでいる。
『やっぱり最高でしょ!やめられないでしょ!』
「ハァハァハァハァ…もう十分……でしょ。ハァハァハァハァハァ。」
『まだ夜もあるからね。夜も楽しみ!』
「……これ以上…ハァハァ……無理よ…ハァハァハァハァ」
『まだ分かってない?』
「ハァハァハァハァ…何で…」
『もう貴方自身抗うことが出来ないのよ。私にも大和さんにも。』
「ハァハァハァハァ…違う…ハァハァ」
私は立ち上がり、床に脱ぎ捨てた服と下着と、腰の下にあてがったタオルを持ち、呼吸が乱れたまま、浴室に向かった。
シャワーのお湯を出し椅子に座り、頭から全身にお湯を浴び続ける。
『ね?やっぱり逆らえないでしょう』
「うるさい……」
『いい加減受け入れてよ。』
「いや!」
『私と貴方は同じよ。』
「違う………!」
『じゃあ、どうしてまた私を外に出してくれたの?』
「それは……」
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
「私自身が変わった…から。」
『でしょ?ようやく分かってくれたね!』
「………………うん。」
私は浴室の鏡に写った私を見た。
鏡に写ったのは、完全に盛りのついた雌猫になった自分だった。
目は快楽を欲している。
先週の私とは全くの別人にすら見えてしまった。
そうしてシャワーを浴びながら、私は再び下腹部に手を伸ばし浴室内でオナニーを始めてしまっていた。
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