(四日目前半)
午前8時半ころ、スマホのアラームが鳴る前に自然と目が覚めてしまった私。
とりあえず、もう一度シャワーを浴びた後、料金を精算して私はレンタカーで隣町のS駅に向かいました。
S駅に着いたのは9時40分頃で、まだ少し時間に余裕があったので、駅前のコンビニでタバコを吸っていたところ、私の目の前に大和さんのキャンピングカーが停まりました。
助手席側のウインドウが開き、大和さんが私に声をかけてきました。
大和さん「おはようございます。登山中は、麓の駐車場で待っていて下さい。旦那さんの分の登山セットは用意してませんし、はぐれたり、ばったり出くわしてもまずいですからね。あ、駐車場の近くに食事処や、トイレもあるんで大丈夫です。あと、ガソリンは満タンにしといて下さいね。熱中症にならないように気を付けて下さいね。」
私「そんなきつい登山道なんですか?」
大和さん「いやいや、そんなことはないですけど、やっぱり装備品はちゃんと整えないといけませんよ。」
私「そうなんですね。分かりました。今日もよろしくお願いします。」
大和さん「よろしくお願いします~。」
大和さんはウインドウを閉めて、駅前ロータリーの方へ車を向けました。
私は車に乗り、ロータリーを眺めていると10時を回ったところで、妻が駅の階段から降りて、大和さんのキャンピングカーに近付いていくのが見えました。
妻の今日の服装は、スキニージーンズにワインレッド色のV字ネックチュニック、黒色のバックパックを背負い、無地で真っ白なキャップと普段から履き慣れた黒色のスニーカーという出で立ちでした。
妻は大和さんのキャンピングカーの助手席に笑顔で乗りこみます。
まだ電話は繋いでいないので車内の会話は聞こえませんし、車内の様子も分かりません。
大和さんの車は、駅から10分くらいの場所にある比較的大きなアウトドア用品店に入ります。
店から出てきた妻は腰に薄手でピンク色のウインドブレーカーを巻き、靴はミドルカットのトレッキングシューズに履き変えていました。
大和さんは、先程まで妻が履いていたシューズと、多分妻が使うであろうトレッキングポールを手にして、二人は仲の良いカップルの様に楽しそうに店内から出てきます。
二人は、車内に乗り込み、アウトドア用品店を後にします。
車は、私達の住む市内にあるインターチェンジから高速に乗り、C県に向かいます。
途中のSAで二人は軽食スタンドでお昼を摂り、午後1時前に目的地であるT山麓の駐車場に付きました。
駐車場は200台くらいが停められる比較的広い駐車場で、大和さんの車から見えずらい場所に停めました。
二人はキャンピングカーを降り、妻は先程購入したトレッキングポールを手にして大和さんの隣に並び、二人は談笑しながら登山口へと消えていくのを私は車内から見送りました。
私は食事処で昼食を取り実家に電話したところ母親から子供達の様子を聞いたところ母は「従兄弟達も集まって、皆昨日から楽しんでるから心配しないで大丈夫よ。」と言われたので、今日も帰るのは難しいことを伝えました。
車内でラジオを聞きながら三時間程の仮眠を取り、二人が戻ってくるのを待ちました。
5時過ぎになり、二人が下山して登山口のところに現れました。
妻はくたびれた様子でしたが、笑顔で大和さんと談笑しており、その表情は充実感に満ちあふれているのが分かります。
車は30分くらい駐車場に停まっておりましたが、二人を乗せた車は、麓の近くにある日帰り入浴が可能なホテルに入ります。
私は二人がホテルに入った後に少し時間を置いてから私もホテルに入り、フロントで入浴手続きをした後、男性浴場に入りました。
浴場内は30人くらいの人が入浴していたでしょうか、私は浴場内を見渡して大和さんを探したところ、端の洗面場所で頭を洗っていたのを見つけたことから、その隣に座り、お湯を出しながら大和さんに話かけます。
私「登山は楽しかったですか?」
大和さんは私が来るのを予想していたのか、頭を上げることなく私の存在に気付き
大和さん「楽しかったですよ。足を踏み外しそうな場所では手を貸してあげてましたが、その時に腕に胸が当たるのがまたいいですね。」
と言いました。
私は体を洗いながら、この後の予定を聞いたところ、頭を洗い終わった大和さんは、顔を上げながら
大和さん「とりあえず、夕飯食べがてら適当に時間潰して、人気のない場所に行きます。そこで今夜は車内で過ごす予定ですね。とりあえず、車で追いかけてきて来て下さい。夕飯後に電話繋ぎますね。」
と答え、露天風呂の方へ向かいました。
私は頭を洗い、近くの湯船で軽くつかり、風呂を出て車内に戻りました。
私は急いで出てきましたが、二人は一時間くらいしてからホテルから出て来ました。
その後、二人は国道沿いにあるファミレスに入りましたが、妻は食事の他にワインを注文していました。
普段家族でファミレスに行っても飲み物はドリンクバーしか注文しない妻に少しの驚きを覚えましたが、私は一人寂しく車内でファミレスの隣にあるコンビニで買った夕食を食べ二人の様子を見守り続けます。
二人はファミレスで思いの外、長い時間を過ごし、会計のために席を立った時、時刻は夜の11時になっていました。
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