スマホの目覚ましアラームが鳴る。
私は半分落ちた瞼をこすりながらリビングに入ると、我が家は既に戦場と化していた。
妻「一郎!いつまでテレビ見てんのよ!午前中に算数ドリル終わらせなきゃ午後ゲームやらせないんだならね!二郎もいつまでもお兄ちゃんと一緒にテレビ見てないで足算プリントやっちゃいなさい!」
朝から家に響く母親の大声。
そんな妻はリビングに入りソファーに横たわろうとした私に対して
妻「パパは何時に仕事行くの!?」
と子供達に対する口調と同じトーンで聞いてきた。
私は、半分寝ぼけた口調で
私「朝ご飯食べ次第行くよ。」
と答えると妻は
妻「じゃあすぐ出すから、早く仕事行く準備しちゃいなさいよ!」
と言った。
今の妻の中には昨日見せた女としての顔は微塵にも感じさせない。
私は洗面所で顔と洗い、歯を磨きながら、日常の中で妻が女の顔を出すのがいつなのか、ふと気になった。
歯を磨き終えて、寝癖を直した後リビングに戻ると、食卓には、目玉焼きにウインナー2本と白米、味噌汁、海苔の佃煮の瓶詰めが置かれていた。
いつも、私が朝に食べる朝食のメニューだ。
私は食卓に座り、出された朝食を5分程度で平らげ、妻の用意した下着に着替えて、窓際に掛けられたスラックスと半袖のYシャツを着る。
バスの時間を調べると、まだ最寄りの停留所に来るまで10分くらい余裕があったことから、私はFMラジオをぼんやり聞きながら、三男と戯れていると妻が
妻「三ちゃん、パパお仕事行くからママと一緒にバイバイしよっか。」
と三男を抱き上げた。
私は鞄を持ち、家を出て停留所へ向かった。
バス、電車に乗っていても、気になるのは先程考えていた、日常の中での妻の女としての顔だった。
そんな時、ふと以前同僚が以前言っていた言葉が頭をよぎった。
『妻が不倫してるかもしれないから家にスパイカメラを仕掛けてみた。』
そんな方法も面白いのかもしれないな、と考えていたところで、電車は会社最寄りの駅に到着したので、私は1人のビジネスマンとして町の景色に溶け込んでいった。
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