思い切り絶叫した勢いで、勇気を奮い、顔を上げる。
。。。壮観。。。
10人もの男達が、一斉に自分のものに触れている様は、そう呼ぶ以外に言いようがない様相を呈している。
全員アイマスクをつけたままなので、この光景を見ているのは、私だけ。菅原は、場の雰囲気を壊してはいけないから、と隣の小部屋に控えている。
沸き上がってきたのは、不思議な高揚感。
裸体を見せたわけでもない。
私の作品と、声だけで男をその気にさせたられたことに、私の気持ちは昂っていく。
「アン。。。アン、アン。気持ち。。いい。もっと...、もっと...。」
「あ~ン、あ~~、いくッ!またいっちゃう。。!」
手元の原稿にはない喘ぎ声をあげ続け、観客を煽っていく。それに合わせるかのように、男達の手の動きも早まっていく。
用意のいい人は、バンドタオルなり、ポケットティッシュなりを手元に準備し、衣服を汚す惨事を回避しようとしている。
何の対策も取らず、ひたすらことに熱中している人に、私は喘ぎ声を作りながら近づき、ティッシュを数枚、動いていないほうの手に握らせる。
やがて。。。
うッ......! あッ......!
それぞれの終わりの瞬間を迎える。。
私は再び観客のそばに近づき、その手に握られた欲望の亡骸を素早く回収し、ビニール袋に封じ込める。
男達はそれぞれ身繕いをし、椅子に座り直す。
その背中が少しだけ丸く、身を縮めているようにも見える。
一刻も早く、ここを立ち去りたいと思っているかな......。終わりを引っ張るのはやめよう。
私はそう思いながら、何事もなかったかのように、小説の続きを読み始める。。。
(続)
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