自分でも理由がわからないまま 声をかける事ができなかった。
大好きなママ・・・けれど、いつもとは全く違う雰囲気・・・
どうしたの・・・?
何かあったの・・・?
どうしてそんな顔を・・・
見慣れているからこそ、大好きだからこそ、麻美は自分の母親の変化を 敏感に感じ取っていた。
繁華街を過ぎると、急に人気がなくなった。
夕日が沈んでいく暗い道を進む母親を 無意識に見つからないように気をつけながら尾ける。
(この先・・・たしか・・・)
道の向こうには 公園が見えていた。
オレンジが紫に変わりかけている空に 茂った木々が黒いシルエットを作り 異様な雰囲気を醸し出していた。
入ってはいけない・・・そんな気がした。
けれど母親は 自然公園と銘打たれた看板の中に消えていった。
それはまるで、暗闇に飲み込まれるように見えた。
そして麻美も その足を止める事は出来なかった。
※元投稿はこちら >>