自動販売機の影に隠れ、妻の会社を見ていた。
見た目は充分、不審者だったろう。
時計を見たり携帯を見たりしてごまかしても、こんなに強張った顔で、緊張に汗をかいた顔でソワソワとしている中年男が怪しくないはずがないと、自分でも思った。
そして残業を告げた妻からのラインの15分後、、、妻が会社から出てきた。
妻は肩にかけたカバンの紐をギュッと握り、足早に歩いていた。
歩く方向は駅とは真逆だった。
すこし険しい顔で、歩く大勢のサラリーマンと逆行して歩いていた。
何度か見失いそうになりながらも、なんとか妻をつけた。
妻はこんな時間に駅と反対方向に、大通りから路地に進む自分を怪訝な顔で避ける人混みに逆行し続けていた。
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