メディカルセンターにて…
<秘密 2>
すぐにシャワーを浴びて、部屋着にしているスウェットの上下に着替えた。
とりあえず 散らかってそぅな所を片付け、テーブルを拭き ソファーとTVの間にあるテーブル代わりににしている炬燵も拭いた。
2人掛けのソファーに家族向けの炬燵たが そのどちらも壁際に押し付け、普段は炬燵の半分をオットマン代わりに足を投げ出している。
ラッチョンマットを二枚 置いてはみたものの
『さて、裕美さんには何処に座ってもらおうか?』、炬燵だけリビングの真ん中に引きずり出してはみたが ソファーは思いのほか重い TV も? 位置は??、何だか面倒くさくなって 炬燵を押し戻した。
ピザを19:30で頼んだ。
まだ18:30、待っているのは長い。
TV では 人気ラーメンの特集をやっていた。
ラーメン食べに出ても良かったかな?、そんな事を思いながら見ていた。
炬燵の上でスマホが踊り出した。
「もしもし?」
「もしもし、裕美です」
「◎◎銀行の駐車場に居れば良いのよね?」
「見てえきたけど、(◎◎銀行)看板」
「はい」
「駐車場でまってて下さい、すぐ出るんで」
「じゃ」
パーカーを羽織って 家をでた。
駐車場のフェンス際にバックで 黄色いカブトムシが停まっていた。
手を振ると 指で助手席を指して 合図している。
「おまたせぇ」
「どっち?、どっち行けばいい?」
「教えて」
「(親指で後ろを指しながら)その道 一通なんで、駐車場出て左 で、また すぐ左で、この道を向こうに…」
と、右手の方を指差した。
「で?、そのあとは?」
「まあ とりあえず行きましょ」
「その都度 ナビしますから」
「了解」
「そこを右」だの「そこを左」だのと、家まで5分以上かかった、『歩いた方が早いんだ?』そんな事を思っていた。
「あれです、あの左のベージュのアパート」
「手前の駐車場に入って下さい」
「で、アパート側の10番に、頭から…」
「OK!」(駐車場に着いた)
「山根さんの(車)は?」
「後ろ、後ろの10番に…」
「あっ、ホントだ」
「あれ何ていう車?」
裕美さんがミラーでみながら聞いてきた。
「MPVって言います」
「もぅ何年乗ってんだろ?」
「暮れに車検なんで なんだかんだ7年近く」
「(部屋)ここの2階なんで。どうぞ。」
「お邪魔します(ペコリ)」
「これ。ビール 何本あってもよいでしょ?」
「ありがとうございます。」
「って、重たいからなんだけどさ(笑)」
2人で階段を登った。
1F2Fとも階段を挟んで1部屋づつ、計4部屋、それぞれが角部屋になるようになっていて、それが3棟 計12世帯。
老夫婦~新婚さんまで 色んな世代が住んでいる。
「どうぞ」と玄関をあけた。
「お邪魔しまぁす」と裕美さんが先に入った。
「あら、良いお部屋ね」
「ちょっと見せてもらって良い?」
「どうぞ」
「じゃ、遠慮なく…」
何やらブツブツ言いながら 見て回っていた裕美さんがキッチンに戻ってきて
「良いお部屋ねぇ、引っ越してきたのよね?ここに」
「でも、こんな事いったら失礼だけど 無田に広くない?、2LDK、バストイレ別、洗面台だってシャワー付きだし」
「このテーブルとかも大きいしさ…」
「TVだって2台あるし…」
「男性の1人暮らしの お部屋には見えないわ、お家賃だって結構すんるじゃないの?」
「駐車場も2台分あるんでしょ?」
「幾らだと思います?、家賃」
「そうねぇ、6万。」
「駐車場 管理費、なんだかんだで7万、どお?」
「コミコミ、4万8千円です」
「ホントにぃ?、何それ?」
「私も引っ越してこようかな、ここに」
「空きは?、空きはないの?、今」
「今 空いてるのは、うちの下ですかね」
「道路側の上は 近々入るみたいで」
「そうよねぇ」
「無いもの!、これで4パチなんて、ないない!」
「『何か出る』とか?」
「…なんですかね?、今のところは まだお目にかかってませんけど」
「って、前に住んでたんです、別の部屋でしたけど」
「その時は そこも そこも 2部屋とも畳で、ちょうど裕美さんがたってるあたりに壁があって3DK だったんです、なにせ昭和の建物ですから」
「バブルの頃は強気の値段だったらしいんですけど 空き部屋の方が多くなっちゃって」
「で、さらにリフォームして、空きがないように『誰でも飛び付く部屋と値段にした』、リフォームのローン 早く返せるように、らしいです」
「でも収納が ほぼほぼ無いんですよね、ここん家、そこが難点ですかね」
「水回りとかは階段側に寄せてるから、隣の物音とかは聞こえてこないんですけど、何せ収納が…」
「でも大丈夫です、下もいないし、隣にも そうは聞こえないです、『そうは…』ですけど、叫ばないかぎり(笑)」
「あら、回数こなして『叫ばせて』頂けるんじゃ(微笑)?」
「頑張ります、ハイ(笑)」
「呑みますか?」
「ソファー、どうぞ」
俺は もう1つのTVの前から座椅子を持って来て炬燵の横に置いた。左に裕美さん 右にTV、そんな位置関係になった。
「乾杯しましょ」
「何に乾杯しょうかしら?、山根さんとの出会いに…?、それも何だか『ありきたり』ね」
「何かないの?山根さん、ねぇ」
「良いんじゃないですか?ありきたりでも」
「そうよね。じぁぁ、2人の出逢いに…」
「とっても綺麗な今夜の『お月様』に…」
「「 乾杯! 」」
「プッ(笑笑)、ちょっとぉ何それぇ?」
「夏目漱石だっけ?『月がとってもキレイですね?』っとかってやつ?」
「漱石でしたっけ?」
「あのさ、何かこう『痒く』ならない?、この辺とか」と裕美さんが首筋をかいている。
「えっ、ゴミ 出さなかったから 蚤か何か わいちゃいました?、大丈夫ですか?」
「もぉ!、いいわ、今日のところは額面どおりに受け取っておいてあげるワ」
互いに笑い合いながら ふたくち目を呑もうとした時にチャイムが鳴った。
「ピザ屋さん?、いいわ私が出る」
「私が出て ちゃんと『ご挨拶』しておきますから、山根さんは座ってて」
「すみません、お願いします」
「お幾らかしら?」
裕美さんがピザを受け取っている。
ピザを受け取って戻ってきた裕美さんが
「あのさ、普通 とめない?、私が出るっていっても…」
「お金の事じゃなくてさ、『見せたがらない』って言うかさ、まして今日はじめて会った女なんだしさぁ、『隠したがる』って言うか、そぅだったから私の知ってる男どもは…」
「怒ってるんじゃないのよ、嬉しいんだけどさ、何て言うんだろ?、…?」
「さっきだってさ、『月が綺麗』なんて言わないわヨ普通の男は、言われた事なんてないもの。ズルいって言うかさ…」
「…でもキレイだったでしょ?、『お月様』」
「(困、困) そうなんだけどね。もぉッ!」
《何だか 前置きばかりが長くなってしまって なかなか『官能』的な部分までたどり着けなくてスミマセン。今夜は この辺で。失礼致しました。》
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