~ エピローグ ~
「田中さん、何キロ減りました?」
「2、3キロ。兵藤さんは?」
「2、5。神林さんは?」
「2、2。すごいじゃない、兵藤さん。最高記録!」
「元が、一番重いから。。。」
「皆、少し締まった感じがしますよね。」
帰りの支度を済ませ、初日に通された部屋でトレーナーを待つ。
お互い、さっきの出来事については触れず、体重測定の話で時間を潰す。
ガチャッ。
ドアが開き、6人のトレーナーが入ってくる。
初日と同じように、私達の前に座り、マネージャーでもある酒井トレーナーが口を開く。
「皆さん。大変お疲れ様でした。それぞれ目標を達成されて、本当に良かったです。この体験を生かして、これからも食事に気を付けて、運動を続けてくださいね。」
さっきまで、私のお尻を犯して獣のような唸り声をあげていた人とは思えない。それは、ここにいる皆も同じか。。。
涼しい顔で、酒井トレーナーは話を続ける。
「ここでの体験は、他言無用でお願いいたします。お分かりですね?」
この時だけ、一瞬、独特の笑みを私達に向ける。
「では、どうぞお気をつけてお帰りください。機会がございましたら、お住まいお近くの、美・エターナルスポーツクラブを是非ご利用ください。空港までは、中沢トレーナーがお送りします。ありがとうございました。」
「お疲れ様でした!!」
トレーナー全員に体育会系の挨拶をされ、私達も、お世話になりました、とか、ありがとうございました、とボソボソ挨拶を返して、その部屋を後にする。
「さ、乗ってください。」
沖縄の景色を惜しむ間もなく、車上の人となる。皆、行きとは違い、当たり障りのない話を何となく続けている。
「皆さん、何か無理してますよね~。ホントは別の話、したいんでしょう?」
中沢トレーナーが、バンドルを握ったまま、声をかけてくる。
「モニターの種明かしだけしますね。皆さんは、僕たちの休暇に付き合ってもらったんです。」
???
「スポーツクラブ全体が、夏季休暇って言いましたよね?8月いっぱい、めちゃくちゃ忙しいんで。で、毎年9月1日から、休みに入るんです。従業員皆、帰省したり、旅行したりするんですけど、僕たちが、えっちしてぇ~って、言ったら酒井マネージャーがこんなのどうだ?って、考えてくれたんです。」
???
「僕ら、福利厚生で、あのホテル、年間1日無料で泊まれるんです。その権利を使って、皆さんに泊まってもらったってこと。施設は休みに入るんで、誰も来ないし。実質、お金がかかるのは、皆さんの航空費だけ。」
「僕らも楽しませてもらうんで、それだけは僕らのカンパ。もちろん、若い子が好きなトレーナーも多いし、若い子限定!って時もあるけど、僕らは、ぽっちゃり熟女、大好物集団なんで。」
私達は顔を見合わせるものの、何も言葉を発することが、できない。
「いやぁ、楽しかったっすよ!残念ながら、モニターは1回きりですが、皆さん魅力的ですから、たくさんセックスしてくださいね!」
気まずい空気のまま、車は沖縄国際空港に到着する。中沢トレーナーが、車の中で、何やら探し物をしている間に私達は外に出る。
田中さんが、重い口を開く。
「ごめんなさい。正直、楽しかったけど、この3日間のことは、お墓にまで持っていくから、今後、連絡は遠慮するね。」
私と神林さんは、黙って頷く。
「それにしても。。」
「?」
「この3日で、一生分のセックスをしちゃった気がする。」
「確かに。」
私達は、くすくす笑い合う。
中沢トレーナーが車から出てくる。
「皆さん、お疲れ様でした。気を付けてお帰りくださいね。今後とも、美・エターナルスポーツクラブを、どうぞよろしくお願いいたします。では、ここで失礼します。」
私達は中沢トレーナーに会釈をして、空港の建物に向かう。
「あっ!兵藤さん。忘れ物!」
建物の入口まで来たところで、中沢トレーナーに呼び止められる。
私は、2人に先に行っててと告げ、彼のところに戻る。
忘れ物なんて、したかな。。。?
「兵藤さん。僕、毎年、東京に異動願い出してるんです。もし、それが通ったら、また会ってくれますか?兵藤さんとのえっち、すごい良かったから。」
「え?」
なんて、ストレートなんだ。。。若さって、すごい。
「プロフィールにあった連絡先、僕、こっそり写しちゃった。あ、モニター終わったら、皆さんの書類は、あの誓約書含めて全部破棄するから、心配はいりませんよ。」
「もし、東京に異動できたら、連絡します!」
。。。きっと、そんな日は来ないな。。
私はそう思いながらも、笑顔で答える。
「はい。もし実現したらね。お世話になりました。中沢トレーナー、お元気でね。ありがとう。」
私は手を振って別れを告げ、踵を返すと、今度こそ空港の建物まで小走りする。
確かに、少し、身体が軽い。久しぶりの50キロ代、維持しないと。
さよなら、沖縄。
また、ここに来ることがあったら、思い出しちゃうんだろうな、この3日の体験。。。
「お待たせしました。」
私は、2人に合流し、搭乗手続きの列に並ぶ。。
(終わり)
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