文章の中身を解説しながら持論を語る彼女の横顔を眺めていた。時折、冗談を交えながらも僕の質問に的確に答えていく。
優しくもあり、整った顔立ちを横から眺めていた。
「おばさんて、聖華女子大だったんでしょう?純也にきいたんですけど…あそこって、偏差値で言うと70位なんでしょう?」唐突の質問に驚いたようだが、クスクスと笑い出すと、「そんなに高くはないわよ。60行くか、行かないかよ。私が70もあるところに行ける訳ないでしょう」そう言いながら僕の顔を見ていた。「たまにね、頭の良い学生はいるわよ…それが普通と思われて噂話が出てくるの。私なんてそんな部類じゃなかったんだから。」そう言うとまた笑いだした。
「勉強も良いけどほどほどにね。余り無理しちゃ駄目よ。汗かいたでしょう?シャワーでも浴びたら?」彼女の言葉に首を横に振った。
「もう少しやってからシャワーお借りします。いつも夜中に風呂入るんで…」家では風呂に入る時間は日付が変わってからだった。言葉に甘えても良かったのだがいつものリズムを崩したくなかっただけである。
「じゃ、おばさん…片付けもの終わったら先に入るから…上がったら教えるわ」そう言うとコーヒーカップ等を持ち部屋を出ていった。そろそろ国語も飽きてきた、本番では物理か生物を選択しなければならない。物理学は到底手に負えるものではない。消去法的に生物を選ぶ事になった。鞄から生物学のテキストを取り出すとまた読んではノートに書き写していた。
(あと半年もこんな生活が続くのか…)。自分にとってはとてつもなく長い月日に感じていた。同級生などは、あと半年しかない…と感じながら机に向かっていることであろう。
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