酒も進み宴もたけなわ、庄吉が千鶴子を呼びつけた。
『千鶴子ぉ、、風呂だ! 風呂の用意ばせぇ! 客人さ失礼のないようしっかと頼むど!』
「はい、かしこまりました..」
千鶴子は庄吉の言いつけ通りに風呂を沸かしに行くと、しばらくしてまた戻ってきた。
『そんではお客さん、風呂の用意ができましたんで、こちらへどうぞ』
それを聞いた娘の妙子が千鶴子の足元に駆け寄っていく。
どうやら母親と一緒に風呂に入りたいのだろう。
千鶴子はそんな妙子に何かを耳打ちすると、妙子は諦めた様子で千鶴子から離れ、つまらなそうな顔で庄吉の膝の上にちょこんと収まった。
「お客さん、どうぞこちらへ..」
『まっことかたじけない、旦那さんや御隠居さんを差し置いて一番風呂を頂くとは』
勘兵衛はそう言って庄吉と爺婆たちに頭を下げ、千鶴子に引かれて屋敷の奥へと消えていった。
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