明るすぎる喫煙所の中にいたせいで、廊下はさらに暗く感じた。
足下を照らす間接照明を頼りに慎重に進んだ。
自分が何をしているのか、それがどんな意味を持つのか・・・
逃げ出したくなるような気分の俺に、すぐ後ろからついてくる2人分の足音が現実を思い知らせてくる。
角を曲がり、突き当たりの手前の扉に手を掛ける。
カラカラと扉が開くと、俺の肩越しに覗き込んだトレーナー男が「スゲェ」と喜びの声を上げた。
トレーナー男はそのまま、俺の体を押し除けるように追い越し部屋に入っていく。
俺が重い足取りで部屋に入り元の席の場所に座る頃には、ニヤニヤと笑いながら妻の隣にしゃがみ込んで顔を覗き込んでいた。
黒シャツの男はゆっくりと室内に入りながら後ろ手に扉を閉め、妻の隣に立つ。
妻は自分を挟むトレーナー男と黒シャツの男を交互に見た。
妻の視線が俺に向けられ表情が笑顔になると、まるでそれが合図だったかのようにトレーナー男の手が伸びた。
ブラウスも下着もないスーツの中に差し入れられたトレーナー男の腕が、乱暴に上下に動いて妻の乳房を揉みしだいていく。
へへへへ、と笑うトレーナー男が妻の耳元で何かを囁き、妻が頷くのを満足そうに見ている。
二度、三度と男が囁く。
その度に妻は、視線を俺に向けたまま頷いていく。
いったい、何を言われているのか・・・
いったい、何を認めさせられているのか・・・
・・・いや、そんな事はわかっている。
何を言われているか・・・何を認めさせられているか・・・
・・・そんな事は、わかりきっている。
淫乱だと、中便器だと・・・
今から抱かれると・・・
妻は出会って数秒の男に言われて頷いている。
名も知らぬ男に卑猥な事実を認めさせられている。
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