2人はどちらも私服で、とても若く見えた。
シャツを着た男はそうでもなかったが、トレーナーの男は10代に見える。
黒地に金色のラインが入った、下品で軽薄なトレーナーだった。
「で、どんな女?」
若いトレーナーの男が質問してくる。
「あ・・・その・・・淫乱な女で」
「マゾ?」
「・・・はい・・・自分でも肉便器と」
「はっはっは、そりゃスゲェ」
俺の言葉が終わるのを待たず、次々と言葉を挟んでくる。
短髪の金髪と左耳に5つも並んだ銀色のピアスが、その言葉使いの軽薄な雰囲気を倍増させている。
もう一人の黒いシャツの男はトレーナーの男よりも少し年上らしく、何も言わずにタバコに火をつけながらこちらを見ていた。
「・・・それにしても・・・・」
トレーナーの男は俺のつま先から頭までをジロッと見て言う。
心の底から馬鹿にしたような笑顔で、睨むような視線で。
「・・・奥さん?」
「・・・・」
「奥さんなんだろ?」
「・・・・」
「ご主人様って風には見えないもんな」
「・・・・」
遠慮のかけらもなく、見下し、馬鹿にした視線と声だった。
「マジで、肉便器よりも情けなく見えるぜ」
黒シャツの男が「おい」と声を出すまで侮辱は続いた。
トレーナーの男は黒シャツより下の立場らしく、その顔は一瞬引きつり、そして取り繕うように「行こうぜ」と喫煙室からでた。
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