「ご予約様ですね、こちらへどうぞ」
店員はそう言いながら、俺が靴を脱ぐのを急かしてきた。
和風の板張りの薄暗い廊下を進む店員は、後ろをついて歩く俺に「お連れ様、4名様は全員お着きです」と言った。
丁寧な口調だったが、俺は少し苦々しく思った。
4人・・・
4人か・・・
山崎、川口、杉本・・・
そして・・・
店員は以降は無言で、予約した時に言った通り、店の一番奥の個室の扉に俺を案内した。
「失礼します・・・お連れ様がお着きです」
店員が声をかけてから数秒の間があった。
「どうぞ」
山崎の声が答えるまで、店員は扉を開けなかった。
この店はつまり、こうゆう趣旨にも答える事を密かにウリにしている店なのだ。
それだけこの世に人目を憚かる男女関係が多いとゆう事だろう。
店員が開けた厚手の木戸をくぐりながらそう思った。
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