最初は気のせいかとも思った。
・・・いや、気のせいだと思おうとした。
最初に気づいた異変は、クローゼットに掛けた服の順番が変わっていた事だった。
別のある日は、引き出しの中の下着が乱れていた。
カバンのサイドポケットに入れていたはずのものがカバンの中から見つかったりもした。
それぞれは些細な異変。
けれどそれは、旦那が私に不信感を持っている証拠だと感じた。
(バレたのかもしれない・・・)
これだけの事をしておきながら・・・私は不安を感じた。
怖くて、寂しくて、苦しかった。
(何を・・・?どこまで・・・?)
恐怖を感じながら・・・けれど確かめる事すらできずに、私は怯えながら生活をした。
そんなある日、携帯にメールが届いた。
会社への通勤途中、いつもと同じ電車に乗っていた時だった。
登録していないアドレス。
文面にはただ一言「黒木優子さんですか」と書かれていた。
また誰かが、どこかに落書きをしたのだろうと思った。
こういったメールは今までにも2度ほど届いていた。
少し落ち込んだ気持ちで「はい」と返した。
「肉便器なんですね」
「はい」
「淫乱な女ですね」
「はい」
今回のメール男はしつこいな、と思った。
今までにメールしてきた2人は、ただの文字の交換にすぐに飽きて消えていった。
けれどこのメール男は露骨な単語を何度も私に投げかけてくる。
チンポ狂い、淫乱、肉便器、、、
それは短いからこそ強く脳裏に刺さる気がした。
私は車両が満員になってからもメール男に返信した。
周りの視線は気になったが、なぜだか返信しなければいけない気分になっていた。
「旦那がいるのに、我慢できないんだね」
グッと、心が締め付けられる気がした。
私を犯す男に撮影される時と同じような、自分で自分を確かめさせられるような気分になった。
少し時間がかかってしまったが、私は返信した。
「はい」
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