加寿代さんの寝室の扉が開かれました。真っ暗だと思っていただけに、常夜灯の明かりが意外に明るくて、少し焦ります。
奥にはダブルベッドが置かれていて、そこに人が寝ているのが確認出来ました。辺りを見れば、タンスや棚もあり、これが初めて見る彼の両親の部屋なのです。
僕の立てた物音に、寝ているシルエットが少しだけ動きました。それに僕は身構えます。
おばさんが起きれば、『おばさん、帰ります。』と言ってごまかすつもりだったからです。
しかし、そのシルエットが起き上がってくることはなく、僕はいよいよ決断を迫られるのです。しかし、『このまはま帰る。』という答えはありません。
『いつ、行くのか?』なのです。しかし、それは意外と早く実行をされました。気がつけば、彼女の寝ているベッドにまで近づいていたのです。
布団に手を掛け、それをめくり上げるのには時間を要しました。ここが最後の決断のタイミングでした。
しかし、布団が上がり始め、現れ始めた浴衣姿のおばさんの身体を見てしまい、それが『GO!』だったのです。
身体を横にして、むこうを向いて眠っている加寿代さん。僕はベッドに片足を乗せると、もう彼女の左の肩を掴んでしまっていました。
その肩をこちらへ引くと、横を向いて寝ているおばさんの身体が仰向けの体勢へと戻ります。『いやっ!なにっ?!』と咄嗟に叫んだ彼女ですが、遅かった。
仰向けになった身体の上に、僕の身体が被さっていきます。
『ナオヤくん!?ちょっとやめてぇ?!』
なんとか目を開いたおばさんにそう言われますが、僕の手は両肩を掴み、彼女の浴衣を肩から下げて行きます。
『落ち着こ~?ナオヤくん、少し落ち着きなさい!』と言われますが、僕の手は肩からおばさんの胸元へと降りていて、そこをこじ開けようとしています。
おばさんの手がなんとか抵抗をしようとしますが、目的を果たそうとしている男の力には敵うはずがありません。
強い力で一度、そして二度目に浴衣を引っ張った時におばさんの胸元が開きました。ベージュのブラジャーが見え、やはり思っていたよりも大きなモノです。
そのまま帯の締まるところまで広げ、初めて乃村くんのお母さんの隠れた肌を見ることになるのです。小学生の頃の僕では、考えられないことでしょう。
肌けた浴衣を気にしていた加寿代さんでしたが、『ウゥ~…、』と言って、その顔を背けました。
浴衣の胸元を掴んだままの僕が、彼女の首元へと顔を沈めたからです。体力を使ったのか、おばさんの口からは『ハァ…、ハァ…、』という息が聞こえます。
『ナオヤくん、やめて…、考え直して…、』と言いますが、もう出す言葉に力がありません。
浴衣の胸元を掴んでいた僕の手は、ここで離れました。同じ浴衣を掴んでいた彼女は、咄嗟に胸元を締めたに違いありません。
しかし、慌てたことでしょう。僕の両手は、彼女の両の頬へとあてられたからです。それは、大きな顔でした。
こんなで間近に見たこともなかった僕は、改めておばさんの顔の大きさを知ることになりました。
加寿代さんは目は閉じ、美形のその顔を崩し、両手で僕の顔を掻くきながらも、動けない顔を必死で横へと傾けようとしています。
しかし、押し付けてくる僕の唇を交わすことは出来ませんでした。触れた瞬間、おばさんの口がギュッと閉じます。女を守ろうとしたのです。
譲れない僕の手は彼女の頬を離れ、彼女の大きな頭へと絡みつきます。頭に回った手は後頭部から彼女の顔を押し上げ、更に唇を奪いやすくしてしまいました。
片手は後頭部を持ち、そして片手脇の下から背中へと回り、加寿代さんの身体を抱き締める形となるのです。
そうなると、あれだけ抵抗をしていたはずの彼女の身体からは、どこか力が抜け始めるのです。もちろん望んでいる口づけではありません。
しかし、その心のどこかで『この子を許そう。』という気持ちが芽生えたのかも知れません。
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