土曜日、アキオは午後まで黒田製作所の裏手に置いた段ボール箱の中にいた。
結局誰も来なかった。二週続けてだった。
「ラブホに変えたのかな」
アキオは諦め段ボールから這い出すとコンビニに止めた原付に向かった。
そのまま川を渡り、いつものレンタルビデオ屋に行った。川向こうはセレブな富裕層が住む町並み。時代遅れのいい具合に寂れたレンタルビデオ店はその中にポツンと建っていた。
(中川さんの家はたぶん公園より駅前に近いよな)
エロDVD3枚、うち1枚は浣腸モノ。
アキオは彩子の姿を思い描き借りていた。
公園は、アキオの住む町にはない、広く木々の木陰がありおしゃれな場所だった。陽射しが暑い季節だったがアキオは原付を止め、ブラブラ公園を散歩した。
(やっぱ違うよなあ)
アキオが思った時、「アキオくん」と呼ばれた。
アキオが振り向くと、ロングスカート姿の女性がいた。
「え、誰あのキレイな姉ちゃん。あっ!」
彩子だった。
「偶然ね、お散歩」
日傘を差し上品なライム色のロングスカート、私服の彩子は工場で会うより一段と若くきれいだった。
「な、な中川さん、何してるんスか」
「主人のお店に行った帰り、天気がいいから私もお散歩してたのよ」
二人は公園のベンチに座ると、
「今日は暑いわね」
彩子が笑いかける。
(うわ、マジ可愛い)アキオはドキドキした。
「ねえアキオくん、あれ」彩子はちょこんと指差した先に移動販売のソフトクリームの車が止まっていた。
(くう~今の仕草さらに可愛いっ)
「はいっ、買ってきまス」
アキオは車に走って行った。
「うふ、ありがと。奢ってもらっちゃった」
ペロリのソフトクリームを舐める彩子。
工場以外で会うアキオは、私服のためか新鮮に感じた。(やっぱりアキオくん若いな)彩子は思った。
アキオも同じように思っていた。
(中川さん、やっぱすごい美人、それに、)
ラフなシャツをおしゃれに着こなした彩子、それでも胸元の大きく突き出た膨らみは隠せていなかった。
「やだ、アキオくん。また、」
彩子は胸元を抱えて隠した。
「ち、違います。胸なんか見てないです。中川さんの口を見てたんですっ」
「やだ、もっとエッチじゃん」
顔を赤らめる彩子に、アキオはドキドキが止まらなかった。
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