「ここのスーパーにも来るんだね中川さん」
源さんは笑いかけてきた。
「はい、時々。」
仕事場以外で会う私服の源さんは年齢より少し若く見えた。「どうだい、お茶でも」彩子はナンパされてるように感じながらも、スーパーを二人で出た。
下町とは違う川向こうのセレブなスーパー前にあるコーヒーショップ。と言ってもスタバだが、オープンテラスで二人は座った。
「おいらは下町育ちじゃが、たまにこういう店で珈琲を飲みに来るんだよ、似合わんがな」
「あら、そんなこと。スタバですよ」
笑いかける彩子を見て、源さんは(可愛いのお)と思った。落ち着いた人妻の印象の彩子だったが、笑顔があどけなく可愛かった。
(ああなにより、あのデカイ胸)
源さんは彩子の胸元の膨らみをチラチラと見た。洋服の下に隠れた乳房を知っているだけによけいに想像がふくらんだ。
「中川さん、、社長と付き合っとるんかい」
「え、あの」
彩子が少し躊躇った。
「理由は知らんが借金だろ。まあおいらも楽しませてもらったが、愛人かの」
彩子はすぐに否定した。「愛人じゃありません。身体の関係はあるけど」
俯く彩子の翳りがある表情は、堪らなく色っぽかった。
「中川さん、知らんだろうが工場は今倒産寸前なんじゃ」源さんは諦め顔で言った。彩子は驚き、
「えっ、そんな」
「北堀や南山も知っとるが、海外製品に押されてな儲けがないんじゃ」源さんはタバコに火を点けくわえた。「中川さん、借金があるならまとめて返せと社長は言ってくるだろうな」
源さんの言葉に彩子はゾッとした。
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