土曜日。
夫の誠二が経営する輸入家具店は週末も店を開けるため、彩子が外出しても判らなかった。
いつもの事務服、今日呼び出された理由はパートの仕事には関係ないと思いながらも、彩子は普段出勤するように着替えていた。
夕方にオナニーした昨日、誠二の帰りは遅く会話もないままに寝て、朝早く出ていった。
(オナニーなんて私、セックスに飢えているのかしら)そう思いながら、社長のセクハラをかわせるか不安だった。
(土曜日ってまさかなあ)
アキオはいつも出勤で使う原付を、工場から少し離れたコンビニに止めると工場の裏手に回った。狭い日陰で横の空き地が見える、誰かが工場に入って来るのを観察できた。
(けっこー暑ちいな、なんかオレ馬鹿かな)
コンビニで買ったペットボトルのコーヒーを飲んだ。
「あっ、」
工場の方でドアが開く音がした。
丁度出勤時間。
そっと裏手から空き地に出ようとした時、空き地に自転車が入ってきた。
(やべ、中川さん)
アキオは工場の裏手に隠れた。
黒田製作所の奥、事務所に明かりがついていた。
窓の向こうに黒田社長か見えた。
彩子は事務所の引き戸を開けて入った。
「おはようございます」
「ああ、おはよう。中川さん、こっちに座って」
黒田社長に言われるまま、デスク脇にある小さなソファーに向かい合い座った。
(エロい足してやがる)
黒田は、ソファーに沈み巻きスカートからはみ出た白い膝とふくらはぎを見て思った。
「わざわざ土曜日に悪いね。他の工員がいるとまずいんでな」
「・・・はい」
彩子は顔を伏せ頷いた。
「判ってるね中川さん、借金の返済の話しだよ」
彩子は下唇を噛んだ。(ああ、やっぱり)
「58万」
黒田は借用書の束を出していった。2~5万円づつ、返済したりまた借りたりの繰り返しで溜まった金額だった。
「借用書の中には返済期日を過ぎてるものもあるしね」いたぶるように黒田が言った。
「お願いします、もう少し待って下さい」
彩子はソファーの前にあるテーブルに手をつき頭を下げた。
「十分に待ったわ」
黒田は席を立ち上がり彩子の横に生らんで座った。
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