管理人室の壁に干したワンピースに着替えると、昨日と同じように耕三の車に乗った。
渋滞の終わった国道を進み路地に入る。
昨日とは違い奉仕を求められなかった敬子は、都心とは反対方向に向かう車の中から見慣れない道の風景を眺めていた。
やがて車は峠道に入り、左右を木に囲まれた細い道を進んでいく。
ラブホテルの看板をいくつか通り過ぎた先に、少しひらけた土地にポツンと立つアダルトショップが見えた。
広い駐車場には車が2台停まっていた。
車を降りて店に向かうと、壁際にスクーターが立てかけられていた。
ガラスの、けれど卑猥なポスターで埋まり中が見えない扉を開く。
重くなる足取りを耕三が後ろから手で押して早める。
その手は敬子を、また更衣室と書かれたカーテンの小部屋の鏡の前に立たせた。
鏡の中の私は、昨日と同じ恥ずかしいドレスを着ている。
洗濯で縮んだのか胸を覆う布は昨日より細く、店に入る前になおしたはずのスカートの裾は、たったこれだけしか歩いていないのにもう捲れはじめていた。
歩きながら、奥の棚の影に男が立っているのを見た。
昨日の男だった。
40歳くらいのサラリーマンに見える。
不潔そうな湿った髪とメタボな腹。
手にビニール袋を持って私を見ていた。
他には2人が本棚の前に並び、1人がアダルトグッズに手を伸ばしながら私を見ていた。
私を誘惑した男は、手に持っていた雑誌を棚に戻すとすぐに、ニヤニヤとしながらこちらに来る。
50を超えていそうな色黒の男は、歪んだ口から黄色い歯を見せる。
耕三がいるから話しかけてきたりはしないが、ほんの数メートルの距離。
ズボンの前の膨らみを隠しもせず、ポケットに突っ込んだ手をモゾモゾと動かしながら私の体を視線で舐めている。
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