山田晴樹はふと、妻の顔を思い出していた。
「アルバイトに出てもいいかな?」と聞かれ視線を上げると、いつもと同じように朝食の準備をする妻がいた。
それはたしかに妻だったが、その雰囲気・・・うまく表現できない何か・・・とにかく、まるで別人のような印象をうけた。
毎日、いつも見ていたはずなのに、見ていなかったのかもしれない。
だから妻に対してそんな印象を受けるのだろう。
結婚して3年も経つのに、妻を別人だなどと・・・女性的な魅力を再認識するだなんて・・・。
平日の昼間の時間に退屈を感じていたなんて、考えてもみなかった。
「少しだけ外に出たい」と言い出すなんて思ってもいなかった。
「いいよ」と答えた俺に向けた笑顔はさらに魅力を感じさせた。
ドキッとしてしまい視線をテーブルの食器に下ろした。
だから、妻の眼が俺ではなく、俺の後ろ・・・ベランダの窓から見える駐車場の外壁に向けられていた事に気づかなかった。
パソコンの時計が11時15分を表示していた。
心のざわつきを振り払うように頭を振った。
明日からの出張のために、この資料を作ってしまわなければ・・・頭の中で呟き、今日も深夜まで残業になると覚悟を決めてキーボードを叩きはじめる。
---------------------------
つけっぱなしのテレビの中で、アナウンサーが「11時15分になりました」と言ってからニュースを読み始めた。
敬子はソファーに座る男の足の間で、フローリングの床にひざまづいて奉仕を続ける。
たった今まで自分を貫き、内臓を掻き回していたモノを舐めている。
その表情は愛しそうに、大切なモノをみるような目で見つめている。
裏筋に舌を這わせていく。
指先をカリの窪みに這わせる。
タマを口に含んで舌で転がしながら両手を使って扱いている。
たった数日で敬子は劇的な変化をとげていた。
理由はもちろん、敬子自身の性癖にあった。
自分自身でも気づいていなかった生来のM性。
そしてそれは長い時間に凝り固まり、圧縮されていた。
気が狂いそうな平和な時間と卑猥な文字の世界に育てられていた。
それを耕三が解放した。
理由はもちろん、敬子の心の変化にあった。
考えられないほど確率の低い偶然を「運命だったのだ」と理解していた。
自分の心に浮かんだ卑猥な・・・便器などという下品な言葉を言い当てられたのは「出会い」として心に刺さった。
イビツに歪んだ耕三の性癖は、行為は、言葉は、敬子の心を簡単に折った。
理由はもちろん、敬子の心が折れたことにあった。
グロテスクなほど巨大なチンポに、処女を捧げた気分でいた。
敬子にとって耕三は、今までの短い男では届かなかった場所に「初めて触れた男」だった。
理由はもちろん、女としての・・・生物としての本能とでもいうべき部分にあった。
凶暴な快楽を与えてくれるチンポに屈服していた。
屈服した心には、ソレは愛しいものに思えた。
こびりつく愛液は自分を責めてくれた跡でしかなかった。
精液の香りは自分に満足してくれた証拠に思えた。
『出してほしい』と思ったのは耕三が初めてだった。
その為なら何でもできると思った。
どんな場所ででも応えられると思った。
そう思いながら唇に、舌にチンポが硬さを取り戻していくのを感じると、自分が求められている気分になった。
嬉しいと感じる。
それは女としての・・・敬子が初めて抱く「メスとしての悦び」だった。
※元投稿はこちら >>