田中:「本日○○様のお世話をさせていただきます『田中』と申します。よろしくお願いいたします。」
私達:「よろしくお願いします。」
田中:「それでは、早速ですが、私が承っておりますことのご確認をさせていただきたいのですがよろしいでしょうか?」
私 :「はい。」
田中:「まず、奥様はアルコールが苦手との事ですが?」
友子:「はい、すぐ熱くなってしまって・・・」
田中:「では、乾杯用の食前酒はリンゴ酒にカシスを入れたシードル・ロワイヤルで、
奥様にはそれを薄めにおつくりいたしますが、いかがでしょうか?」
私 :「はい、それでいいよね、友子?」
友子:「はい、お任せします。」
私 :「では、それでお願いします。それとその後のお酒ですが、私1人ではワインも飲みきれないし、
グルメでないのでワインの味も判らないので、いきなりウィスキーとかでも大丈夫ですか?」
田中:「はい、大丈夫ですよ。ウィスキーの銘柄はこちらからお選びいただけますが・・・」
そう言って、メニューを広げてくれました。
私 :「では、竹鶴が好きなので、最初は水割りでお願いします。」
田中:「かしこまりました。奥様のお飲み物は、ノンアルコールだとこちらになりますが・・・」
友子:「では、ジンジャエールでお願いします。」
田中:「かしこまりました。では、次にお料理ですが、それぞれ個別にご注文いただくと伺っておりますが・・・」
私 :「そうなんですよ、それが一番気になる所なんでよす。
妻は好き嫌いが結構あるので、食べられない物が出てきても困るし、
食べきれないで残すと失礼になるんでしょう?」
田中:「左様でございますか。そうですね、一般的にはそう言われております。」
私 :「ただ、だからと言って料理のバランスを全部知っているわけではないので、
それを田中さんにお手伝いいただければありがたいのですが・・・」
そうして、田中さんが丁寧に料理の説明をしてくれて、またお勧めしてくれて、次々に注文が決まりました。
田中:「最後に、例のものはお持ちしてもよろしいでしょうか?」
私 :「あっ、はい、お願いします。」
友子:「例の物って?」
私 :「あ、いや、なんでもない・・・」
田中:「では、失礼します。」
そう言って、田中さんが厨房の方に消えていきました。
すぐに、食前酒を持った田中さんと、後ろからリボンが付いた白い箱を載せたワゴンを押したウェイトレスがきました。
田中:「お待たせいたしました。食前酒のシードル・ロワイヤルでございます。」
そう言って、グラスを置きました。
流石にこの時は、友子の胸元はまったく気にしてはいないようでした。
ウェイトレスはテーブルにワゴンを横づけにしました。
田中さんが私に目で合図をしました。
私 :「友子、30年間色々と尽くしてくれてありがとう!
そしてこれからもよろしくね!これはほんの気持ちです。」
私がそう言うと、ウェイトレスが白い箱を開けました。
中には用意したフラワーアレンジメントが入っており、私が電話で伝えた感謝のメッセージが綺麗な字で書かれていました。
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