レストランのある階にエレベーターが止まりドアが開くと、レディーファーストで友子が先に降りて、
その後に私が降りて、レストランに向かいました。
「いらっしゃいませ!」
「予約しておいた○○ですが・・・」
「はい、○○様ですね。承っております。こちらにどうぞ!」
そう言われて案内されたのは、夜景の見える窓際の席でした。
席に着くと、友子が座る為にウェイターが椅子を引いて、静かに座ったのを確認した後、私も同様に座りました。
ホテルでの食事なんか新婚旅行以来のことで、私も緊張していましたが友子は更に緊張しているようでした。
私 :「緊張している?」
友子:「そりゃそうよ、ホテルのレストランなんかでお食事なんて、新婚旅行以来じゃない?」
私 :「そうだよなぁ・・・結婚して30年。子供の世話で忙しくしていたから、二人っきりでの泊りは、
新婚旅行以来だもんなぁ・・・今までありがとうな!」
友子:「いいえ、どういたしまして!あなたもお仕事頑張ったものね!お疲れ様でした。」
二人で顔を見合わせて、ニッコリしました。
ウェイターがメニューを持てきました。
その時改めてウェイターを見ると、若いイケメンでネームプレートに「田中」と書いてありました。
私 :「すみません、私達予約の際に、近藤さんに色々ご相談していたので、近藤さんお願いできますか?」
田中:「あっ、はい。フロアマネージャーの近藤ですね。少々お待ち下さいませ。」
私 :「は、はい。近藤さんって、フロアマネージャーなんですか?」
田中:「左様でございます。」
そう言うと、一礼して、年配のウェイターのところに行き、話をしました。
するとその年配の近藤フロアマネージャーらしき方が、ニコニコしながら近づいてきました。
近藤:「○○様、本日はご来店ありがとうございます。
フロアマネージャーをさせていただいております近藤でございます。お電話では失礼いたしました。」
と丁寧なあいさつをされて
私 :「い、いや、ご丁寧にありがとうございます。まさかフロアマネージャーとは知らずに、
『近藤さん』だなんて気軽にお呼びしてしまって、申し訳ありませんでした。」
近藤:「何をおっしゃいますか、○○様。本日は、ご結婚30周年をお迎えになられた記念日との事、
誠におめでとうございます。(一礼)」
私達:「ありがとうございます!」
近藤:「そのようなおめでたい日のお祝いの席に当レストランをご指名ご来店いただいて、誠に嬉しく存じます。
本日は私どもスタッフ一同、○○様にご満足いただける様、精一杯務めさせていただきます。」
私 :「よろしくお願いいたします。早速ですが、お恥ずかしい話、私達新婚旅行以来ホテルでの食事なんてしたことがないんです。
テーブルマナーとかよくわからないので、どうしたらよいものかと、それが心配です。」
近藤:「○○様、ご心配には及びません。先程ご案内しました田中が、本日○○様のおもてなしをさせていただきますので、
遠慮なくお申し付け下さいませ。お打合せの内容は、全て話してありますので、ご安心ください。
また、わからないことは遠慮なくお聞きいただければ、そっとお教えさせていただきます。よろしいでしょうか?」
私 :「は、はい。何から何までありがとうございます。」
近藤:「また、何かございましたら、遠慮なく私をご指名下さって結構ですので、どうぞごゆっくりとお過ごしくださいませ。」
そう言って近藤フロアマネージャーと入れ替わりに田中さんがテーブルにきました。
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