畳の上に布団が敷かれ、その上で毛布にくるまった二人が座った状態で抱き合います。気がつけば、事務長さんの上半身はブラジャーだけになっています。
僕も上半身の服を脱ごうとしました。すると、事務長さんの手がフロントのボタンを外しに来ました。呼吸は『ハァ…ハァ…』言っています。
早く脱がせたいのか、手が慌てています。
お互いに上半身は裸になりました。毛布は取られ、このまま抱き合います。僕の唇は、彼女の首や肩を這いました。
事務長さんの唇も同じように、いやそれ以上に愛撫してくれます。彼女の唇は僕の胸にまで到達していました。口からは何度も『好き…好き…』と発せられます。
どこかおかしいとは思っていました。積極的と言うのか、自分をコントロール出来てないように思いました。その心配が的中してしまいます。
彼女のブラジャーを取り、胸を揉み始めていました。『シュン…シュン…』と鼻をすすり始めたのです。『まさか?』と思いました。
事務長さんの乳首の愛撫に移ると、さらに鼻をすすり、『ウッ…ウッ…』と明らかに泣き声になりました。さすがに手を止めて、彼女を見ます。
『ごめんねぇ…。』とだけ言い、指で涙を拭っています。彼女の身体に毛布を掛け、抱き締めてあげます。
僕は何も聞きませんでした。事務長さんも涙は止まったと思いますが、じっと僕に身体を預けていました。
しばらくして、『壊れそうになったから…。自分が壊れそうになっちゃったから…。』とまた涙が溢れ始めます。
『もうねぇ…あなたが好きで仕方ないの~…』と言うと完全に泣き始め、『アホやろ?私、アホなんよ…。』と号泣ですわ。
『もう、どうしていいのか分からんの…。』とだけ言うと少し黙って泣いていました。
事務長さんなりに、いろいろ思うこともあったんだと思います。抱き締めて、話を聞いてあげ、僕なりに考えてみました。
事務長という、忙がしく責任ある仕事につき、毎晩のように残業残業、恋愛する時間も少なく、婚期も逃してこの歳になってしまった彼女。
そこに年の離れた僕が現れてしまい、諦め掛けてた女の部分が出てきてしまった。
しかし、仕事が追い回され、世間体がジャマをして、会いたいのに思うように会うことも出来ない。
女を諦めて仕事を取った彼女と、女の歓びを手に入れようとするがうまく出来ない彼女、いろんな彼女が葛藤をするのだと思う。
15分くらい過ぎただろうか。『ごめんねぇ。もう一度大丈夫。』と彼女が言った。しかし、もう少しだけ時間をあげたかった。
彼女を連れて、この建物の屋上にあがった。二人で海を眺めた。寒いので、そう長くは居られない。ずっと彼女を後ろから抱き締めていた。
もし、海や近くに人が来たら、完全にバレると思うが気にならなかった。
10分くらいが限界で、屋上にある展望室に入った。海側がガラス張りの小さな部屋だ。長椅子が3セット程置いてあった。さすがに暖房してないのでサブい。
暖房のスイッチを入れ、長椅子を並べてベッドを作り始める。ここで、仕切り直しである。事務長の目を見ると、少し腫れて泣いた跡がまだ残っていた。
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