家に帰って、ベッドに寝転がり、前にもらった名刺を眺めていた。『事務長 大石寿美子』何回見てもそう書いてある。
『偉い人だよなぁ。その方とキスしたんだよなぁ。これから、どうするんだろ?』と、期待より不安が勝ってしまう。
それどころか、『何でこうなったのか?綺麗な女性だといえ、おばさんもいいとこだ。大丈夫なのか?』とマイナスに考えるようにもなっていた。
翌日、起きると携帯が点滅していた。メールが入っている。事務長さんだった。『いつまで寝てるの?お~き~ろ~!』と書いてあった。
彼女のイメージと違うメールに戸惑った。こんな一面もあるんだと。
夕方になり、返信してみた。『昨日はありがとう。今晩、ごはんでもどうですか?』と書いておくる。内心ドキドキです。断ってくれとさえ思いました。
しばらくして、『今から、会議。』と返信があった。ホッとしてる自分がいたのも確かです。
といいながら、僕自身残業になり、8時を過ぎて家路に着いていた。そこに彼女からメールが届く。『終わったよ。疲れたぁ~。』と書いてある。
ご苦労様と思いながら、何度もメールを見る。しかし突然、携帯が振動を始め、画面が光り、『事務長さん』と文字が表示される。電話が掛かって来たのだ。
『もしもし?』と言うと、『大石です。』とお決まりの自己紹介が聞こえた。『何してるかなぁと思って。』と言っていた。
会社帰りだと告げ、『時間あるなら、ごはんでもどうですか?』と誘ってみた。『ん~…、せっかくだから、ご一緒しよかな?』と言ってくれた。
個室タイプのレストランで食事をすることになった。学校に近いぶん、彼女も少し警戒をしたのだと思う。業者と仲良くしてるのは、あまり見せたくないと。
食事が始まったが、昨日の今日である。何かお互いに考えてしまったのか、変な緊張感がある。無口になってしまう場面も多かった。
食事が終わりに近づいた頃、彼女が『今日、少しくらい私のことに考えた?』と聞いてきた。『うん。』と素っ気なく答えてしまった。
少しして、『今日ねぇ、朝からあなたのことばかり考えてた。アホでしょ?』と、真面目な顔の彼女がそう言い、うつ向きました。
何も言えずに、うつ向いたままの彼女を見ていました。『いい歳したおばさんが…、アホでしょ?』と続けます。
情けないけど、『ありがと。』と答えるのが精一杯でした。
レストランを出ました。いろいろと考えている彼女をみながら、頑張って後でメールで『好きです。』と告白しようと決めました。
ところが、車に乗り込んだ彼女に『あなたが好きです。』と告白してしまったのだった。なぜか言わずにおれなかったのだ。
『えぇ~?』と、今度は彼女が僕を心配し始めた。『すいません。事務長さんが好きです。』と追い討ちをかけてしまう。
僕を心配して、次にどう行動を取ろうかと考えている事務長さんでした。
『お付き合いする?』、しばらくして事務長さんの口から出た言葉でした。『どうなるかわかんないけど、私とお付き合いしてみる?』と言ってくれた。
もちろん、『はい!』と答えました。事務長さんも安堵からなのか、嬉しそうに『なら、私からも。私でよければ、お付き合いしてください。』と
返してくれました。
※元投稿はこちら >>