カーナビの案内に従うままに車を走らせ、目的地に着いたのは夜遅くだった。メールに住所とともに書かれていた看板はすぐに見つかった。辺りは暗く、ぼんやりと灯る街灯がまばらに立っているだけなので、小さい看板を見落とすことはなかった。
いつもの私なら、こんな場所に来ることなどできない。でも今は違う。私が強く望んで来たのだ。いや、言われるがままにやってきた、という方が正確かもしれない。
私はそんな事を考えながら、周囲を見渡した。周りにはあまり大きくない工場や事務所が並んでいる。一様に門が閉じられ、室内の電気が点いている部屋はひとつもない。誰もいないのは分かっていたが、やはり確認せずにはいられない。改めて安堵すると、私は自分がするべき事を思い出した。
黒のタイトスカートを捲し上げ、下着を脱いだ。脱いだ下着は座席の下に隠し、用意してきた黒のストッキングを直に穿く。一連の動作の中で触れた下着は濡れていた。もちろん、触れなくても分かってはいたが。私は自分自身を突き動かす感情を押さえられなかった。
着替えを終えると、そっと車を降りてドアを閉めた。静かに閉めたつもりだったが、思いのほか音が響いて驚いた。小刻みに左右を見ながら、目的の事務所に向かって歩きはじめた。
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