「有紀…若村有紀です…。」
それだけ答えると、ため息まじりに、
「そうか…父親は…?」
旦那さんは質問を続ける。
「えっ…?雅治です。」
とまた何の関係があるのかと思いながらも答えた。
「昨日、君の名前を聞いて気になっていたんだよ。君は私と宏美の子供なんだよ。親子だったんだよ…。」
「え?ええ?」
衝撃の告白に理解が出来なかった。旦那さんはそのまま続けていく。
「君のお母さんは私の妹だ。有紀の夫婦は、子供が欲しくても出来なかった。一わ方私たちは当時貧しくて子供を養う余裕も無かったけれど、宏美は妊娠してしまった。気づいたときにはおろせる事が出来なかった。だから有紀の夫婦に宏美が産んだ子を我が子として育ててくれと頼んだんだ。有紀夫婦は快く引き受けてくれたよ。その後、会社は順調に成長して余裕が出来て、ここまでになった。」
「宏美がこのことに気づいているかは知らない。君の名前だって有紀夫婦がつけたものだ。君の住むマンションの下で倒れていたとかも偶然なのか、有紀と連絡を取り合っていて成長した我が子を一目見ようと向かったのかはわからない…。だからもう宏美とは会わないでくれないか…。」
旦那さんは泣きながら土下座をした。妻を寝取ろうとした年下の少年相手にだ。ぶん殴られてもおかしくないのに。
これはこの人の作り話なのか…本当の事なのかは僕には確かめる術もなく母親に連絡したところで真実なんて言わないだろう。
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