泣き崩れてしまいそうな宏美さんに、
「今ここから電話してみる?…それとも帰ろうか?」
あの女性が何者なのか確かめたい自分の気持ちも強かった。このまま帰るのもしゃくだった。
「電話してみる…。」
そう言うと、スマホの電源を入れて覚悟を決めた顔つきで電話をする宏美さん。
「あの…私です…宏美です。」 宏美さんの肩に手を回して見守る。
「連絡出来なくてごめんなさい…。えっ…。はい…はい…。」
相手は何を言っているのかは聞こえない。けれどこの
怯えるように返事をする宏美さんの姿は強い口調で何かを言われているのだろう。
頑張れという無責任な言葉を心の中で思いながら。
「あの…家の鍵が使えないのはどうして…その女性は誰なの…。」
ようやく切り出した宏美さん。家の中で電話をしていた男性が庭の僕たちの方を見ると受話器を電話に置いて、庭への大きなガラス戸をあける。
「どうしてそんな所にいるんだ。その一緒にいるのは誰なんだ!」
強い口調で言い放った。
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