ありさは手紙を読むと大粒の涙を流し、わなわなと手が震えていた。
「返事は11時半です、あと20分程あります、それまでに私が定時連絡しなければ、自動的に①になります」冷淡にありさを見つめ伝えた。
「・・・・無理です・・・」声にならぬような小さな声でありさは呟いた。
無言のまま時間だけが過ぎており、残り5分となったとき「奥様はご存知だったんですね・・・」うわ言のように。。。
「そろそろ時間ですがどうしますか?このまま結論出さねば自動的に①に・・・」言いかけた時に「・・・私に選択権なんて・・・ないじゃない・・・①だけは・・・できない・・・」
「②で良いですか?あと2分です」
ありさは、虚ろなまま頷いた「②で本当に良いですか?」畳み掛けるように言い放ちちゃんとご自身で選んで答えてください!」声を少しだけ荒げた。
「・・・②で・・・うぁああ・・・」泣き崩れた。
携帯を取り出し、電話をかけるふりをして
「依頼主へ伝えてくれ②を選びました、発送を止めるようにと・・・。え?それではその旨をありさへ伝えます、はい10分後に連絡します」
「泣いているところ悪いが、今からホテルへ行くように指示がありましたが、大丈夫ですか?無理なら①・・・だと・・・」諭すように伝えた。
「・・・今日はこれから子供と約束があるの・・・、許してくれませんか?お願いします」
泣きながら懇願するが「先ほどの電話で依頼主は今日言うことが聞けない女の事など信用が出来るわけない、どんな理由があっても今日ホテルへ行って指示通りしなければ、①にするそうです」
「・・・・・・わかりました、一本子供に連絡させて下さい、言うこと聞きますので・・・」
子供への電話はできるだけ元気な声で話をしている、子供が反対をしているんだろう、子供の説得をしている様子だった。その間に10分立つため電話をかけるふりをして「今からホテルへ行きます、結果報告します」と伝えるふりをした。
子供を無事に説得できた様子で、田中弘さんの連絡先を消去し、着信拒否設定も行わせ、仕事先にフードコートから連絡させ、10分ほど店長らしき人と話をして退職となった。
「では、行きましょう、今から貴女が今日中に行いビデオ報告しなければならない事です、こちらを読んでいて下さい」ありさに手紙を渡した。
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