フードコートをでたありさと私。
駐車場に向かう足取りも重く、虚ろな目で私の後をゆっくりと付いてくる。
手紙は手に持ったまま開封しようとはしていない。不安と恐怖が入交り今にも泣きそうな・・・いや、既に半分泣き顔状態。
私の借りたレンタカーの助手席のドアをあけ、乗り込むように合図すると、ゆっくりとゆっくりとだが、乗り込んだ。助手席のドアを閉め、運転席に移動し、ドアを開け乗り込むと「・・・後ろの席に・・・誰かに見られたら・・・」俯きながらありさは呟いた。
「わかりました、ご自由にどこでもお座り下さい。そこまで依頼主から指示されておりません」そういうと又ゆっくりとゆっくりとした動作で後部座席に深く座った。このレンタカーの後ろの窓はスモークが入っておらず、外から見えるため、深々と座ったと思われた。
「今更ながらですが、もう一度お話させて頂きますが、依頼主はかなりご立腹しておりまして、簡単には貴女を許す事はないと思われます。依頼主からのご命令を私は商売といて動いております。正確には依頼主の奥様からとある興信所へ、その興信所から私へ依頼がありました、先程から連絡している先は、その興信所の方です。私は依頼主の奥様とは直接お会いした事はございません。私が言うのは変ですが・・・貴女の将来を考えれば①をお選びになり0からやり直したら如何でしょうか?」
この会話で強調したかったのは、私は依頼されているだけで悪くいない、ありさの事を考えてあげているんだよ、って事を優しく言った。私の話を聞いたありさは大粒の涙を流しながら「・・・子供には言えない・・・もう・・・死んだほうがいい・・・」顔を両手で覆い泣き始めた。「そんな・・・そこまで思い詰めるなら尚更やり直したら・・・いかがですか?①でもいつかは子供に会えると思いますよ?」泣いている女性を諭すように優しく優しく言ったが、怒鳴るように「私から①なんて選べるわけないじゃない!」一言いいそのまま両手で顔を覆い泣き崩れていた。
「ふぅ・・・それでは仕方ありません、ここからは依頼主の命令通りにさせて頂きます、依頼主からはすべての会話を記録するようにあります、今からこちらに会話を記録させて頂き依頼主へ報告させて頂きます」ICレコーダーを取り出しスイッチを入れた。
「では、ありささん、先ほどの手紙を開けて声に出して読んで下さい。依頼主へ聞こえるようにお願いします」声を気張るも丁寧に優しい口調でありさへ伝えた。
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