「さっき誘ったじゃないですか?いらないって言いましたよね?」
あっけらかんと言い返す斉藤に腹が立ち
「そういう事を言ってるんでは無くて!山口さんも斉藤さんも、どうなってるんですか!まったく!社会人とは思えませんよ!私は失礼します!」
怒り爆発した後くるりと向き直し出て行く。
「突然、仕事を辞めるというのも社会人としては…どうなんですかねぇ」
イヤミぽく言う斉藤の言葉に動きが止まる佳子。
「山口が失礼したことは謝ります。何をしたかは聞いてませんが…たぶん気分が悪くなるようなことをしたんですよね?」
全て山口から話を聞いている斉藤は知らんぷりをして頭を下げた。
「やめて下さい。山口さんが謝るなら分かるけど斉藤さんは関係ないじゃないですか!」
慌てる佳子。追い討ちをかけるように
「関係無くないんです。すみません。」
再び頭を下げる斉藤。
「いや、そんな…」
どうしていいか分からなくて立ちつくす佳子。
「珈琲、煎れますね。座って下さい。」
言われたままソファーに座ってしまった。
心の中でガッツポーズをした斉藤。ここまではシュミレーション通りに進んでいた。勝負はここからだ!落ち着いて珈琲をソファーに運ぶ。
「どうぞ。よろしければお菓子も召し上がってください。」
「ありがとうございます。いただきます。」
いつの間にか斉藤のペースになっていた。
「今日、来て頂いのはですね…佳子さんに仕事を続けてもらいたくて私が考案したのです。」
珈琲をゴクリと飲み込んだ佳子。
「はぃ…」
不安げに返事をする。
「まず、うちの会社が扱っている健康器具があるんです。ご存知ですか?それを使って頂きます。今まで通り部屋のお掃除などもお願いします。」
「あの…健康器具って…いったい…どんなもの…なんで…しょうか?」
山口のアダルトグッズの件もあり警戒する佳子。
「それは後ほど説明しますが、一般的な物ですので心配しなくていいと思いますよ。」
さらりと流す斉藤。
「いや、一般的といわれても見たことも使ったことも無いので…」
また聞き返す佳子。
「では、ちょっと待ってて下さい!すみません」
書斎から素早く書類を持ってきた斉藤はテーブルに書類を並べボールペンを置いた。
「こちらに署名をしてもらえますか?」
書類をよく見てみると…
【極秘事項】
他言無用などと書き記してあった。一番下に署名の欄がある書類が2枚。
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