数年後
結婚生活は特に不満もなく充実している
朝起きて髪を束ねる
子供のころからシニヨンにするのは手慣れていた
「おはよう、薫」
「おはよう、夕貴」
私の苗字が変わっても違和感なくすんなり受け入れられた
幼馴染みだったからかな
26歳、まだまだひよっ子だけど
それなりに評価はもらっている
はやく出世したいな
スーツを着る
「似合うね、薫は」
「へへ、ありがと」
「本当に美しいよね、浮気しないでね?」
「貴方を愛してるから心配しないで、私からもそのセリフを言いたいんだけどな」
微笑み合ってキスをして
夫婦ってこんな感じなのか
すごく安定して穏やかな気持ち
子供がいればいいんだろうけど
私はやっぱり仕事に溺れたい
彼も納得してるし
スーツは鎧みたいなもの
だから薫は女騎士だね
って夕貴は冗談っぼく言う
それはかっこいい例えだね、私は気に入ってる
責任のある仕事を任せてもらえるようになってどんどん楽しくなっていく
私はデスクの整理をしてからすぐに仕事に取りかかる
幹部候補だけど、いや、だからこそもっとやらないと
「薫、新人研修の担当任せられたんでしょ?」
同期で入社した友達の平山彩希
仲のいい友達だ
「うん、新人研修かぁ・・」
「すっごいイケメンの子が入社したらしいよ?マンツーマンで教えるんだよね、うらやましーの」
「そーいうの、どーでもいい!」
「ふふ、さすがわが社の女騎士さん」
夕貴とは別な職場だけどなんでか広まってしまったアダ名
たぶん彩希が広めたんだろうな
新人くん、ちょっと見てくるか
彩希の言ったとおり、すごく綺麗な顔立ちだ
ま、仕事するのには関係ないのでどーでもいい
人間、皮をめくれば肉と骨ですし
我ながらなんか女らしくないよなぁ・・・
「御山礼二です!よろしくおねがいします、、」
「はい、よろしく」
なんか緊張してるみたいだな
ちょっとかわいい
私も最初はこんなだったな
4ヶ月ほどみっちり仕事の基本を叩き込む
ついてこれるかな
帰宅した
夕貴と二人で買った一軒家
さすがにまだローン中
「ただいま・・・」
って言っても夕貴はまだ帰ってきていない
彼も仕事が忙しいんだよね
子供・・・欲しがってたけど
夫婦の夜の営みなんてここんとこずっとしていない
したいとは思うけど
正直あんまり気持ちよくない
彼が下手なのか、相性が悪いからか
ま、心で通じ合ってるから大丈夫・・・・
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