赤提灯の居酒屋へ入った
ここなら悪戯される心配はない
・・・されたとしてもぶん殴るけど
お酒ともつ煮を注文した
「いいお店ですね」
「ええ、旦那とよく来るからね、店主とも顔馴染み」
ここは私のフィールドだと釘を刺しておく
「で?」
「・・・・・前の資料くださいませんか?」
「あー、再就職先の?なんで?」
「辞表出します」
「え?」
いきなりすぎてびっくりした
私としてはさっさと消えてほしいけど
ほしい・・・けど・・・
動揺しちゃってる
なんで?いきなり・・・
「理由は?」
「・・・・音信不通だった親にたかられてるんです」
「・・・・あっそ」
「・・・それもダメですか?ははっ・・そんなに嫌いなんですね、俺の事・・・」
御山君は微笑みながら一粒涙をこぼした
ひどく儚げで・・・
不思議な色っぽさ・・・
少年と大人の間の男の子、特有の・・・女にはない可愛らしさ
私、こんなに悲しそうな彼になにしてるんだろ
「辞表は出しちゃダメ」
「へ・・・?でも・・・」
「うちみたいな企業はなかなか無いよ、辞めたらダメ」
「先輩・・・ありがとうございますっ、、」
照れながら笑った彼を見て
私の心は激しく揺れている
なんなのこの子は・・・
私は・・・どうしたらいいの?
触れたい欲求が溢れてくる
「たかられてるなら弁護士に相談しなさい」
「はい・・・、、」
「・・・年上としてアドバイスできるのはここまで」
お酒をついであげた
御山君は微笑んだ
胸がときめく・・・
飲み屋を出た
駅まで送ってくれた
「見送らなくてもいいのに」
「先輩が好きですから見送るんです、、」
かわいいヤツ
さっきまであった警戒心も殺意も綺麗に無くなってしまっている
電車が来るまで椅子に座って待つ
御山君が缶コーヒーを二つ持ってきた
「はい、先輩」
「ん、ありがと」
缶コーヒーを受けとる時、手が触れて
ビクッと電気が走る
なんなんだ、これは、、、
抱かれた時、間違いなく相性がいいって分かった
触れ合えば吸い付くような肌
彼も私と相性がいいって思ってる
なんか・・・・もうダメだわ、私
「先輩・・・」
「ん?」
「この前はすみません」
「・・・若気の至りだね、気を付けなさい、これからは」
「はい、すみません・・・・・へ!?」
電車が来たけど私は椅子に座ったまま
御山君はキョトンとしている
電車の扉が閉まって
出発していってしまった
私は夕貴に電話をかけた
「夕貴ごめん、電車逃しちゃった、帰り遅れるわ」
夕貴の返事を聞いて電話を切った
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