純子さんは私の提案が理解できなかったのか
「……はぁ?」
と間の抜けた返事を返してきました。
私はこうなったらあとはどうにでもなれといった気持ちで一気に自分の気持ちを伝えました。
「このままだと私もいつ誰にうっかり漏らしてしまうか自信はありません。トイレの中で行われていたことも一部始終は拝見しました。
正直あの日からあなたのことが頭から離れません。あなたのことを想像しながら何度もオナニーもしています。
どんな理由があってAさんと浮気しているかは私には興味はありません。
ただ、一度でいいので私にもAさんと同じことをしてくれませんか?
このままだと私はただの第三者ですが、もし純子さんが私にAさんと同じことをしてくれたら私も当事者になります。そうなれば自分にも不利になるようなことを他人に漏らすようなことは100%なくなります。
私も納得できます……」
早口でまくし立てる私を遮るように純子さんが言いました。
「……脅迫ですか?…」
「まさか?脅迫するつもりなんてありません!無理矢理するつもりならばもう襲っています。
最終的な判断は純子さんに任せます。拒否したからって誰かに言うことはありません。多分…。」
純子さんは口に手を当ててしばらく考えていました。
「…美穂ちゃん(妻)に悪いとは思わないんですか?…」
「それを純子さんが言うのはルール違反じゃないですか?」
妻の名前を出されて一瞬現実に引き戻されましたが、おかげで頭は冷静になりました。
こちらは言いたいことは言ったし純子さんの様子を見ていたら妻に告げ口するような感じもなかったので、あとは純子さんに任せることにしましたが、身動ぎひとつせずに固まった純子さんからの返事を待つ時間は本当に長く長く感じました。
このままだと埒があかないと判断した私はほとんど諦めの境地で
「…わかりました。いきなりこんなこと言われても純子さんも困りますよね?ゆっくりと考えてまた答えを聞かせて下さい…」
と言いました。
そう言ってしまうと寝室に純子さんがいるところを誰かに見られるのもめんどう臭いと思って早く部屋を出て行ってくれることを願いました。
「……Aさんと同じことってどこまでですか……?」
私は力なく呟く純子さんの言葉を一瞬聞き逃しそうになり、思わず、えっ?と聞き返してしまいました。
「…Aさんと同じことってどこまですればいいんですか…?」
純子さんの口から出た言葉を次はしっかりと聞き、その瞬間私は、勝った!と思いました。
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